「介護職は離職率が高い」とよく言われますが、それは本当なのでしょうか?
実は近年、介護業界全体の離職率は改善傾向にあり、2025年には12.4%と過去最低を記録しました。それでも、依然として「働き続けられない」と感じる人が多い現実もあります。
この記事では、最新データをもとに離職率の実態を正しく理解し、離職を引き起こす背景や原因を丁寧に解説します。さらに、離職率の低い職場にはどのような共通点があるのか、「辞めたくない」と思える環境のヒントもご紹介。
介護の仕事を続けたい方、より良い職場を探している方、採用や定着に悩む管理者の方にも役立つ内容をお届けします。
【 目 次 】
- 1. 介護職の離職率は本当に高い?【2025年最新データで解説】
- 2. 離職率が高くなる背景とは?現場でよく聞く5つの理由
- 3. 離職率が低い職場には共通点がある!「辞めたくない」と思える環境とは
- まとめ:離職率の数字の裏側を知り、安心して働ける職場を見極めよう
1. 介護職の離職率は本当に高い?【2025年最新データで解説】
「介護職はすぐ辞める」「離職率が高いから不安」——そんなイメージを持つ方も少なくありません。
確かに過去には高い傾向があったものの、実は近年、介護業界の離職率は大きく改善しています。
厚生労働省の関連調査(介護労働安定センターが2024年に発表)によると、2023年度の介護職員の離職率は12.4%。これは、調査方法が現在の形式になった2005年度以降で最も低い数値であり、前年(13.1%)からもさらに0.7ポイント改善しました。
さらに、全産業平均の離職率は15.4%(2023年雇用動向調査)となっており、実は介護業界のほうが低いという結果が出ています。
このデータを見る限り、「介護=離職率が高い」というイメージは、すでに過去のものになりつつあるのです。
とはいえ、すべての職場で状況が良いわけではありません。**10%未満に抑えている施設が半数を超える一方で、20%を超える施設も全体の約24%**を占めており、事業所ごとの格差は依然として大きいのが実態です。
このように、数字としての「平均離職率」が下がっていても、個別の職場によってはまだ離職リスクが高いケースも存在します。
次の章では、介護職が離職する主な理由について詳しく見ていきましょう。
2. 離職率が高くなる背景とは?現場でよく聞く5つの理由
介護職の離職率は全体としては改善傾向にありますが、それでも一部の職場では高止まりが続いています。
なぜ、介護の現場では離職が起こりやすいのでしょうか?
ここでは、実際に現場で働く介護職員からよく挙がる「離職の理由」を5つに分けて紹介します。
① 人間関係のトラブルや孤立感
介護はチームでの連携が求められる仕事です。そのため、上司や同僚との関係性がうまくいかないと強いストレスを感じやすい傾向があります。
また、新人職員が孤立してしまい、誰にも相談できないまま退職してしまうケースも少なくありません。
② 身体的・精神的な負担の大きさ
夜勤や早朝勤務、腰への負担など、身体的にハードな業務内容も離職理由のひとつです。
加えて、認知症の方への対応やご家族との関係など、精神的な消耗も大きく、それが蓄積して離職に至ることがあります。
③ 賃金の不満と他業種への転職
介護職の処遇改善は年々進んでいますが、それでも**「収入が見合わない」と感じる職員は依然として多い**のが実情です。
特に近年は、賃金の高い他業種(物流、製造、小売など)への転職も目立っています。
④ 教育・サポート体制の不足
「何も教えてもらえないまま現場に出された」「質問しづらい雰囲気だった」など、新人や中途採用者への支援が不足している職場では、短期間で離職に至ることも。
特に未経験者にとっては、丁寧なフォローの有無が定着のカギとなります。
⑤ キャリアが見えにくい
介護職は専門職でありながら、昇進・キャリアアップの道筋が不明瞭な施設も多いのが現状です。
将来に希望が持てなければ、「この先ずっとこのままなのか…」という不安から離職を選ぶケースも見られます。
以上のように、介護職の離職には職場環境・労働条件・将来への不安が複雑に絡んでいます。
次の章では、これらの課題を乗り越え、離職率を低く保っている職場の特徴について見ていきましょう。
3. 離職率が低い職場には共通点がある!「辞めたくない」と思える環境とは
一方で、同じ介護業界の中でも、離職率が10%未満に抑えられている職場も数多く存在します。
それらの職場には、職員が長く働き続けたくなるような共通点があります。ここでは、その代表的なポイントを5つご紹介します。
① 風通しの良い人間関係とチームワーク
離職率の低い職場では、スタッフ同士のコミュニケーションが活発で、相談しやすい雰囲気があります。
上下関係がフラットで、「困ったときに誰かが助けてくれる」という安心感が、働き続ける理由のひとつとなっています。
② 業務負担の分散やICTの活用
シフトの偏りが少なく、スタッフの人数にゆとりを持たせた配置をしている職場は、過重労働になりにくいため離職が少なくなります。
また、記録業務や情報共有にICT(タブレットなど)を導入して効率化を図っている施設も増えており、身体的・精神的な負担軽減につながっています。
③ 定期的な面談やフィードバックの機会
離職率の低い施設では、職員一人ひとりと定期的に面談を行い、悩みや希望を聞く機会が設けられています。
「見てもらえている」「話を聞いてもらえる」と感じることで、モチベーションの維持や早期の課題解決につながります。
④ キャリアパスと研修制度の明確化
初任者研修や実務者研修の受講支援、資格取得費用の補助など、ステップアップの道が見える仕組みがある職場は、将来の展望が持ちやすく離職が抑えられます。
施設によっては、ケアマネジャーやリーダー職への道も開かれており、長期的なキャリアを描ける環境が整っています。
⑤ 処遇改善加算などの待遇改善の反映
国の施策による処遇改善加算を、明確な形で給与や賞与に反映している施設も、職員からの評価が高い傾向にあります。
「頑張った分、きちんと評価される」と実感できることが、職員の満足度や定着率につながっているのです。
このように、離職率の低い職場は、人・環境・制度の三拍子がそろっており、職員が安心して働き続けられる土壌があります。
次の章では、この記事のまとめとして、離職率を「数字」で見るだけでは分からない“職場の見極め方”についてお話しします。
まとめ:離職率の数字の裏側を知り、安心して働ける職場を見極めよう
介護業界の離職率は、2023年度に12.4%まで低下し、調査開始以来最も低い水準となりました。
「介護職=すぐ辞める」というイメージは、もはや過去のものになりつつあります。
しかしながら、依然として離職率の高い職場と低い職場の格差は大きく、数字だけを見て判断するのは危険です。
実際に離職率が高くなる背景には、人間関係、業務負担、待遇、将来への不安といった複合的な要因があります。
一方で、働きやすい職場には共通点があります。
それは、風通しの良い人間関係、業務の工夫、キャリアの見通し、待遇への納得感——つまり「人を大切にしている現場」であることです。
これから介護職に就く方や転職を考えている方は、離職率の数字だけでなく、「なぜその数字なのか」や「現場の取り組み」に注目することが、後悔しない職場選びのカギになります。
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