「老健(介護老人保健施設)って、どんな施設?」「介護職や看護師の仕事内容は他の施設とどう違うの?」
介護・医療業界で働きたいと考える方にとって、老健の役割や働く人の業務内容を正しく理解することは、転職・就職の大切な判断材料になります。
老健には、介護職や看護師だけでなく、リハビリ職(PT・OT・ST)や支援相談員、管理栄養士、薬剤師、事務職など、多くの専門職がチームとなって働いています。
それぞれの職種がどのような業務を担い、どのように連携しているのかを知ることで、老健という職場の全体像が見えてきます。
この記事では、老健の基本的な特徴から、職種ごとの仕事内容、日勤・夜勤の働き方のリアルまでをわかりやすく解説します。
老健でのキャリアを検討中の方はもちろん、これから介護業界を目指す方にも役立つ内容です。
【 目 次 】
- 1. 老健(介護老人保健施設)とは?役割と特徴をわかりやすく解説
- 2. 老健で働く職種別の仕事内容一覧|介護職・看護師・リハビリ職・相談員など
- 3. 老健の働き方とやりがい|日勤・夜勤の流れや他施設との違いも紹介
- まとめ:老健での仕事内容を知ることが、理想の職場選びの第一歩に
1. 老健(介護老人保健施設)とは?役割と特徴をわかりやすく解説
老健(介護老人保健施設)とは、要介護1〜5の高齢者が在宅復帰を目指してリハビリを受けながら生活する中間施設です。
医療と介護の両面からサポートを行うため、病院と特別養護老人ホームの中間的な位置づけといえます。
● 老健の目的は「在宅復帰支援」
老健の最大の特徴は、在宅復帰を前提とした支援を行うこと。
入所期間は原則3〜6か月程度とされており、その間にリハビリや生活支援を通じて、再び自宅での生活ができるようサポートします。
● 老健と他の施設との違い
介護施設にはさまざまな種類があり、それぞれに目的や役割が異なります。ここでは「老健」「特養(特別養護老人ホーム)」「有料老人ホーム」の3つを比較しながら、違いを整理してみましょう。
🏥 介護老人保健施設(老健)
- 主な目的:在宅復帰支援
- 入所条件:要介護1〜5
- 特徴:
- 医師が常駐しており、医療的ケアが受けられる
- 理学療法士などによるリハビリが充実
- 介護・看護・リハビリ職など多職種連携で短期的な支援を行う
🏠 特別養護老人ホーム(特養)
- 主な目的:長期的な生活介護
- 入所条件:原則、要介護3以上
- 特徴:
- 看取りケアや認知症対応がある
- 医療体制は老健に比べて簡易的
- 長期間暮らすことが前提の施設
🏢 有料老人ホーム
- 主な目的:生活支援と快適な住環境の提供
- 入所条件:自立~要介護まで幅広く受け入れ(施設により異なる)
- 特徴:
- 民間企業による運営が多い
- 介護サービスの内容・料金体系が施設ごとに異なる
- レクリエーションや生活支援が充実している施設も多い
このように、老健は「医療+介護+リハビリ」を一体的に提供し、利用者が再び在宅生活へ戻ることを支援する施設である点が、他の施設と大きく異なります。
2. 老健で働く職種別の仕事内容一覧|介護職・看護師・リハビリ職・相談員など
老健(介護老人保健施設)では、利用者の在宅復帰を支援するために、さまざまな専門職がチームとなってケアを行っています。
ここでは、主要な職種ごとの仕事内容や役割を紹介します。
👩🦳 介護職(介護福祉士・介護士)
主な仕事内容:
- 食事・入浴・排せつなどの身体介助
- レクリエーションやリハビリの補助
- 夜勤対応(見守り、体位交換など)
ポイント:
- 利用者の生活に最も近い存在で、日々の変化を把握しやすい
- 看護師やリハビリ職と連携しながらケアを提供
🩺 看護師・准看護師
主な仕事内容:
- バイタルチェック、服薬管理、医療処置
- 医師の指示に基づく医療的ケア
- 急変時の対応や夜勤時の医療判断補助
ポイント:
- 医師が常駐しているため、病院に近い看護スキルが求められる
- 利用者の健康管理と介護職との橋渡し役も担う
🧠 リハビリ職(理学療法士PT・作業療法士OT・言語聴覚士ST)
主な仕事内容:
- 身体機能や日常生活動作の訓練(PT・OT)
- 嚥下訓練・言語訓練(ST)
- 利用者ごとのリハビリ計画の立案と実施
ポイント:
- 利用者のADL(日常生活動作)向上を目指す重要な役割
- 「自宅で暮らすために必要な力」を引き出す専門職
💬 支援相談員(生活相談員)
主な仕事内容:
- 入退所手続き・利用者家族との相談対応
- 他機関との連絡・調整(病院、ケアマネ、行政など)
- ケアチーム内での情報共有と連携
ポイント:
- 対人調整力と事務能力の両方が求められる
- 利用者と施設の「橋渡し役」として不可欠な存在
🍽 管理栄養士
主な仕事内容:
- 利用者の栄養状態に合わせた献立の作成
- 食事内容の見直しや嗜好への配慮
- 誤嚥や嚥下障害への対応(リハビリ職との連携)
💊 薬剤師・医師・事務職など
- 医師:診察、健康管理、医療指示の発出
- 薬剤師:薬の管理・服薬指導・医師や看護師との連携
- 事務職・事務長:請求業務、経営管理、職員間の調整など
このように、老健では多職種がそれぞれの専門性を発揮しながら、チームで在宅復帰を支える体制が整えられています。
次章では、それぞれの働き方の特徴や、日勤・夜勤体制の実態について解説します。
3. 老健の働き方とやりがい|日勤・夜勤の流れや他施設との違いも紹介
老健では、在宅復帰という明確なゴールに向かって、多職種が連携しながらケアを提供しています。
そのため、働き方にも特徴があり、やりがいを感じやすい職場だといえます。
ここでは、日勤・夜勤の勤務体制や、他の介護施設との違いについてご紹介します。
🕐 老健の勤務体制|日勤と夜勤の役割の違い
■ 日勤の主な流れ
- 8:30~17:30が基本(職種により変動あり)
- 朝の申し送り・バイタルチェック・食事・入浴・リハビリの支援
- 各職種が並行してケアに関わるため、チーム内での連携が重要
■ 夜勤の主な流れ(介護職・看護師)
- 17:00〜翌9:00などの長時間勤務が一般的(2交代制の場合)
- 利用者の見守り、体位交換、排泄介助、緊急時対応などを実施
- 看護師が常駐しているため、医療的ケアも可能
📌 ポイント:老健では医師が日中常駐しており、夜間もオンコール体制がある施設が多いため、医療的な安心感がある環境です。
🏥 他施設と比較した老健の働き方の特徴
老健(介護老人保健施設)は、他の介護施設とは異なる目的と体制を持っています。
以下に、主な違いを項目別に整理しました。
🩺 医療体制の違い
- 老健:医師が常駐し、看護師の人数も比較的多い
- 特養:看護師は日中のみの勤務が多く、医師は非常勤の場合も
- 有料老人ホーム:医療体制は施設により大きく異なる(看護師不在の施設も)
🎯 ケアの目的の違い
- 老健:在宅復帰支援が明確なゴール。自立支援に重点を置く
- 特養:長期的な生活支援と介護が目的。終の住処になることも多い
- 有料老人ホーム:日常生活の支援が中心。サービス内容は施設によって多様
🧘♂️ リハビリの実施体制の違い
- 老健:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが常駐し、個別リハビリを提供
- 特養:基本的には簡易的な機能訓練が中心。専門職の常駐は少ない
- 有料老人ホーム:リハビリ体制が整っていないことが多く、希望者は外部利用が必要なケースも
このように、老健では医療職やリハビリ職の配置が手厚く、「治す・支える・帰す」というプロセスが一体となったケアを実践できる点が大きな魅力です。
🌱 老健で働くやりがい
- 利用者が目に見えて回復し、在宅復帰する瞬間に立ち会える
- 多職種と連携することで、専門職としての成長が感じられる
- 医療と介護の両側面から関われる貴重な経験が得られる
老健は「生活の場」と「医療の場」のちょうど中間に位置するため、高齢者ケアに幅広く携わりたい方にとって、非常にやりがいのある職場です。
✅ まとめ:老健での仕事内容を知ることが、理想の職場選びの第一歩に
老健(介護老人保健施設)は、医療と介護の中間に位置し、利用者の在宅復帰を支援するという明確な目的を持った施設です。
そのため、介護職や看護師だけでなく、リハビリ職や支援相談員、管理栄養士など、多くの職種が専門性を発揮しながら、チームで支援を行っています。
老健の働き方は、日勤・夜勤で役割が異なるだけでなく、医療体制やリハビリ支援も他の介護施設とは大きく異なります。
「治す・支える・帰す」という機能を持つ老健は、医療と介護の両方を経験したい方や、専門職としての成長を求める方にとって非常にやりがいのある職場です。
老健での仕事内容を理解することで、自分に合った職種や働き方を見つけやすくなり、ミスマッチのない就職・転職につながります。
この記事を通じて、あなたが理想の職場に出会うための一歩を踏み出す手助けとなれば幸いです。