介護士の社会的立場はどうして低いのか

介護士の社会的立場の低さ
日本では急速な高齢化に伴い、介護士不足が深刻になっています。介護士募集の求人は大量に出ていますが、介護士の数は全く足りていないようです。その証拠に特別養護老人ホームを運営していても、介護士が足らないという理由で利用者の受け入れ制限をしているほどです。これほどまでに介護士という仕事に需要があるならば、社会的地位も上がっていくと思うのですが、現状は低いままなようです。

目次

  1. 【1】介護士は職業として世間からどう思われている!?

    1. 1.どうして介護士は地位が上がらないのか!?

    2. 2.介護士になるのはどんな人?

  2. 【2】年収や資格難易度からみる介護士

    1. 1.資格取得難易度からみえる介護士

  3. 【3】介護士の仕事は誰にでもできる!?

    1. 1.看護師の仕事も昔は地位が低かった?

  4. 【4】介護士の地位を上げるには?

介護士は職業として世間からどう思われている!?

どうして介護士は地位が上がらないのか!?

仕事の地位を決める要因はいくつかあり、給与はもっとも深刻な事例ですがどれだけの付加価値があるかも大きくかかわっています。

介護士の仕事を考えてみましょう。高齢者の生活を24時間サポートし、健康的で楽しい生活が送れるように日々、奮闘しています。決して楽な仕事ではないですし、むしろかなりハードな仕事です。そのように大変な思いをしているのに、どうして社会的な地位が上がらないのでしょうか。

それは、介護は本来、施設で行うものではなく、家族が行うものであり、仕事として認められていたものではありませんでした。介護とは生活サポートをすることですが、介護が家事の延長戦上にあるものとみられているため、地位が低いものとみなされていたのです。

仕事に貴賤はありませんが、世の中の味方としては上記のような理由から介護士は仕事としてあまり認識されにくいことがあげられます。

介護士になるのはどんな人?

介護士は仕事として地位が低いのは、それが仕事としてそこまで認められていないという問題もありますし、またどのような人が介護士になるのか、というところとも関係しています。

今でこそ、若い男女も介護士を目指して専門学校に進学しますが、昔は主婦がヘルパー2級を取得して、施設やデイサービスで働くという形が多かったのです。今でも介護士は女性が多いですが、依然はさらに女性が多かったのです。

そのため、介護士は子育てがひと段落した女性がやるものと考える傾向もあり、立派な仕事であるにも関わらず、正社員としての仕事としてはあまり有望なものとしての認識はありませんでした。

年収や資格難易度からみる介護士

職業の価値は年収として表れてきますが、介護士の年収は一体いくらなのでしょうか。現在の介護士の平均年収は約310万円と言われており、全業界の平均年収の約420万円と比べると約110万円も低い結果ということになっています。

これは介護士はもともと利益を生み出しにくい業界の中にいるため、給料が低いという面があります。介護士の給料は介護報酬が関わってきており、いくら利用者の介護満足度を上げても、高齢者施設の収入は介護報酬で上限が決まっているため、施設の収入が増えるわけではありません。

これでは介護士の収入増は期待できない状態です。介護士という仕事はハードかつ精神的なストレスも非常に多い仕事なのですが、それに見合った給料をもらえていない場合も多々あります。介護報酬は国の財源と関係しているため、そうそう介護士の給料が上がるように設定することもできません。

介護士に関しては、年収=職業の価値とはいえなそうです。たとえ、年収が高くなくても、高齢者の生活を支える価値のある仕事です。

資格取得難易度からみえる介護士

現場で働くスタッフは、3年働けば介護福祉士の受験資格を得ることができます。資格を取得すれば数千円から1万円ほどの手当てが付くため、多くの人が受験するのですが、この試験はどれほどの難易度があるのでしょうか。難関資格ほど資格取得後は、年収も高めになる傾向があるのは確かです。介護士福祉士の2017年1月に行われた試験は72.1の合格率で、10人中7人が合格しています。今までの試験でも合格率は約60%ほどで10人受験したら6人は合格できる試験です。これは資格試験の中では難易度は高くなく、割と取得しやすい資格といえます。資格の取得しやすさからみて、そこまで高度な知識を求められているわけでもないことが分かります。

介護士の仕事は誰にでもできる!?

 

介護士の社会的立場の低さ

 

介護士の求人は大量にあるため、採用されやすいです。そして、多くの人が採用されるということは割と知識がなくても、最初のうちはできてしまうという側面があるのも事実です。

もちろん、専門知識や技術を持ち合わせた介護士もいますが、専門知識がなくても務まってしまう一面もあります。この多くの人が取り組むことができる仕事というのは、言い換えれば、替えがきく、誰でも良い仕事ととらえられてしまう側面もあり、そのために介護士に価値が置かれない理由にもなっています。介護士の仕事は決して楽な仕事ではないですし、高齢者相手の死と隣り合わせの側面も持ち合わせています。

夜勤を含めるとハードは勤務体系もありますが、それが評価されることはあまりありません。

看護師の仕事も昔は地位が低かった?

今でこそ、年収も地位も高い看護師ですが、昔は今ほどの待遇は得られていませんでした。

1960年代までの看護師は、月に夜勤が何回あっても、100円(当時の値段)の手当しかつきませんでした。

しかし、その待遇に不満を持った看護師たちが立ち上がり、処遇改善を求めて活動を始めました。

最初は新潟県の病院看護師が新潟県と交渉しながら、待遇を勝ち取るのですが、その活動は全国的に広がっていきました。そうした活動も実を実らせながら、月日は経ちますが、その後、日本看護協会という団体をつくり、政治の世界へも進出します。

政治団体である日本看護連盟も創設し、看護師出身の政治家を輩出し、政治的な発言力も強めていきました。それと共に看護師の待遇は向上していきました。

介護士の地位を上げるには?

地位や年収を上げるには短期間でできるものではありません。介護士は今後ますます需要が見込まれる仕事であり、ハードワークも求められる仕事です。高齢者の人生を支える大切な仕事でありながら、いまいちその価値性に十分な報酬が与えられていない面もあるのではないでしょうか。

看護師がその地位を勝ち取ったように、介護士も待遇改善を訴えつつ、自身のスキルを磨いて、社会に必要不可欠な存在としてその価値性を高めていく必要があるのではないでしょうか。

介護士の地位は実際の評価から見るとまだまだ低い部分があるのではないでしょうか。現場の介護士たちは日夜、高齢者のライフサポートで悪戦苦闘しています。決して楽な仕事ではないですし、また簡単にできる仕事ではありません。

死と隣り合わせの仕事でもあるため、確かな知識と技術がなければ、確かな介護はできないですし、心身共にタフでなければつとまる職業ではありません。ここまで多くの人材を必要としている介護士がもっと魅力的な待遇になれば、介護士不足も少しは解消されるのではないでしょうか。