日本に潜在介護福祉士ってどれくらいいるの?

潜在介護士
介護士となったが、腰痛や仕事がきついとの理由で離職してしまう人は一定数いる。また、結婚を機に介護士を離れる人もいる。このような潜在的な介護士はどれくらいいて、なぜ介護士に復職しないのかまとめていく。

介護士は不足状態が続いていますが、介護士経験者が福祉業界を離れて、復職しないケースは結構あります。元介護士が復職すれば相当の人材不足が解消できると言われていますが、今回は事情により介護士を離れた人、つまり潜在介護福祉士ってどれくらい存在していて、どうして復職しないのか、その実態と原因を探ってみようと思います。

目次

  1. 【1】潜在介護福祉士ってどれくらいいるの?

  2. 【2】どうして介護職に復帰しないのか!?

  3. 【3】再就職支援にはどういったものがあるのか?

  4. 【4】潜在介護士の正直な思いとは?

潜在介護福祉士ってどれくらいいるの?

介護士不足が世間で噂されている中、潜在介護福祉士は約いると言われています。

2025年には介護職員が全国で約38万人不足するという推計が発表されていますが、その数をカバーできるほど潜在介護士は存在しているという計算になります。

介護福祉士の約40%は福祉の仕事をしていない事実

2016年3月の時点において、介護福祉士としての登録をしている人は、140万8533人にも上ります。しかし、このうちの約40%は介護福祉士の資格を所持していながらも、介護の仕事についていないのです。潜在介護福祉士が約45万人も存在しているという実態を受け、このような人達を復職させられないか、国も対応策を出しています。

どうして介護職に復帰しないのか!?

専門学校に通ったり、仕事をしながら学習し、取得した介護福祉士の資格ですが、苦労して得た国家資格をどうして再就職の場で活かさないのでしょうか。

公益財団法人介護労働安定センターが発表した「平成25年度介護労働実態調査」を参照すると、介護の仕事をやめた理由を多い順に並べると、

「職場の人間関係に問題があったため」(24.7%)

「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」(23.3%)

「他に良い仕事・職場があったため」(18.6%)

「収入が少なかったため」(17.6%)

「自分の将来の見込みが立たなかったため」(15.1%)

となっています。

このような離職理由を見ると、やりがいを求めて介護士になったものの、実際の現場では理想と現実がかけ離れ、嫌気が指してしまったようにも受け取ることができます。

また、「労働条件等の不満」においては、「人手が足りない」、「仕事内容のわりに賃金が低い」、「有給休暇がとりにくい」などが上がっています。やはり、低賃金・重労働と言われる介護職は一度その大変さを分かってしまうと復職するのに魅力を感じないのかもしれません。

再就職支援にはどういったものがあるのか?

2025年の介護職員不足が約38万人で、2016年時点での潜在介護福祉士が約45万人いるならば、潜在介護福祉士や潜在介護士が職場復帰したならば、介護職員不足は解消することになります。

「離職した介護職員の再就職」と「潜在介護福祉士の活用」は今後において力を入れていくべき課題としてと議論されています。そのために、自治体も様々な再就職支援に乗り出していますが、それは復職を後押しするほどの魅力あるものなのでしょうか。

「知識や技術を再確認するための研修」

 主な取り組みとしては2つ行われていますが、一つは離職人材に向けた「知識や技術を再確認するための研修」です。埼玉県の福祉部高齢者福祉課では、3日間の基礎研修と職場体験がセットになった「埼玉県潜在介護職員復職支援事業」というものを行なっています。

研修後は、事業者と本人の双方で合意がとれた場合、研修先にそのまま就職することも可能な仕組みを取っており、研修者の再就職の取り組みをバックアップしています。また、東京都社会福祉協議会においては、職場体験を終えた人に対して、「介護職員初任者研修資格取得支援」を行い、介護業界への復職を促す取り組みも行っています。

これらは長年の介護士離職を経験し、復職を不安視する方に効果的な取り組みとなっています。介護技術も少しずつ進化していたり、新たな職場で自分がなじめるのだろうかと不安が大きくなるのも無理はありません。実際に基礎的な研修を行い、知識と技術を再確認し、職場体験も行うことによって、自信を取り戻すことができる内容になっています。

「復帰に向けたマッチング支援」

福祉人材センターやハローワークでは、求職者へ介護士求人の支援を行なっています。各都道府県によって多少の違いはありますが、介護施設の求人を開拓し、就職や資格取得への相談を行なっています。相談に関しては福祉キャリア支援専門員を設置するなど再就職へ向けて手厚く支援を受けることが可能となっています。

自治体や福祉団体のみならず、介護事業者でも介護職員の復職支援に取り組んでいます。「牧野ケアセンター」という介護老人保健施設では、介護福祉士を対象とした復職支援プログラムに取り組んでおり、全3日間で、現役介護士による講習や入浴介助などの研修を行っています。

社会福祉法人ほくろう福祉協会という札幌市の特別養護老人ホームでは、独立行政法人福祉医療機構からの協力の元、「介護スタッフ復職支援事業」を行なっています。札幌市厚別区および清田区で計88名に対して、復職のための研修を行った結果、約10名の採用をもたらした実績があります。

潜在介護士への研修を行いつつ、そのまま研修先の施設へ就職してもらえれば、事業所としても人材不足解消に大いに役立ちます。ましてや介護士経験者であるならば、未経験で就職した人に比べて教育時間も大幅に減らすことができるため、事業所にとっても研修を設けることは大きな利益をもたらすものとなっています。

潜在介護士の正直な思いとは?

介護士が離職するには、やりがいを感じられないや低賃金・重労働に対する失望など、離職した介護士の数だけ様々な要因があると思います。そういった理由から介護士への復職を考えられない人がいる一方で、復帰を拒否しているわけではない人達もいます。

データがないため、2008年にまでさかのぼってしまいますが、社会福祉・進行試験センター「介護福祉士等現況把握調査」によりますと、介護以外の仕事に就いている潜在的介護福祉士の44.3%、仕事に就いていない潜在的介護福祉士の53.2%が、「条件が合えば」介護の仕事に復帰したい意志を表したとのことです。

元々はやりたくて志望した介護士の道です。様々な条件が合わなかったり、結婚・出産・引っ越しを機に離職した方もたくさんいると思います。いろんな状況の人がいる中で、半数近くの人が介護士への復職を検討する余地があるということです。様々な対応策をさらに充実させれば、さらに復職者を増やすことができるかもしれません。

一度長期に渡って介護士を離れてしまうと、復職後に仕事についていけるのか不安になる方も多いと思います。特に体力面での心配や夜勤ができないなどの理由で復職を断念する人もいると思います。しかし、人材不足の状況が後押しをするということもあって、そういった方々に適した職場や要望を可能な限り聞いてくれる職場もあります。

施設では介護士の要望を聞き入れてでも、人材確保に努めたいと考えているケースも多いです。諦めずに面接時に相談するなど、自分の希望通り働ける施設を調べてみるのも、有効な復職への手段ともいえます。