精神に障がいを持つ人をサポートする「精神保健福祉士」

精神保健福祉士は、精神科ソーシャルワーカーとして働くために必要な国家資格。うつ病や統合失調症・アスペルガー症候群など、精神に何らかの疾患や障がいを持つ人に対して、相談業務や支援を行う専門家です。精神障がい者やその家族を支援する精神保健福祉士。どのような資格なのか、資格取得の方法や資格取得後の就職先について詳しくレクチャーします。

目次

  1. 【1】精神保健福祉士ってどんな資格?

  2. 【2】精神保健福祉士の仕事内容って?

  3. 【3】今後ますますニーズが高まる資格

精神保健福祉士は、介護福祉士、社会福祉士と並ぶ国家資格です。医療機関や介護施設を中心に、メンタルヘルスに問題を抱える方の支援を行っています。いったいどんな資格なのでしょうか。

精神保健福祉士ってどんな資格?

精神保健福祉士とは、“精神科ソーシャルワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)”と呼ばれる専門職として働くために必要な国家資格。精神科ソーシャルワーカーは、精神障がい者の退院や生活のための相談援助を行う専門職。精神科ソーシャルワーカー自体は50年以上前から存在する職業ですが、精神保健福祉士は1997年にスタートした精神保健福祉士法によって生まれた資格です。

精神保健福祉士は、精神科や医療施設で精神障がいの治療を受けている人、または社会復帰するための施設を利用している人に対して、相談に応じたり、指導や生活支援・訓練等の援助を行っています。名称独占の国家資格で、資格を持っている人だけが“精神保健福祉士”と名乗ることができます。

精神保健福祉士の受験資格

精神保健福祉士の国家試験は誰でも受験できるものではなく、次のいずれかのルートで受験資格を得る必要があります。ルートは次の表のとおりです。

  1. 4年制大学で指定科目を修めて卒業した方(3月31日卒業見込みの方を含む)
  2. 2年制または3年制の短期大学等で指定科目を修めて卒業し、指定施設で2年以上または1年以上の相談援助業務に従事した方(3月31日までに従事見込みの方を含む)
  3. 6ヵ月以上の精神保健福祉士短期養成施設を卒業または終了した人(3月31日までに卒業または終了見込みの方を含む)
  4. 1年以上の精神保健福祉士一般養成施設を卒業または終了した人(3月31日までに卒業または終了見込みの方を含む)

そのほかのルートに、「無資格で相談援助業務の実務を4年間経験して、養成施設に1年通うルート」や、「社会福祉士として登録し、養成施設に半年以上通うルート」などがあります。いずれにしても、無資格から受験資格を得るには4年以上の年月がかかるため、どのようなルートを選ぶかじっくり検討する必要があります。
詳しい受験資格については指定試験実施機関である公益財団法人社会福祉振興・試験センターの公式HPをチェックしておきましょう。

精神保健福祉士の合格難易度は?

精神保健福祉士資格は、年に1度、1月の下旬から2月の上旬に公益財団法人社会福祉振興が実施している精神保健福祉士試験に合格することで取得できます。合格率は実施年度によって異なりますが、60%前後です。平成28年の10月末で、7万3723人が精神保健福祉士として登録しています。

精神保健福祉士の仕事内容って?

精神保健福祉士の仕事は、精神にハンディキャップを抱える方が日常生活をスムーズに営めるように、生活を支援したり、社会参加できるようにしたり…とさまざまなサポートを行うこと。資格取得後には、医療機関や福祉行政機関、生活支援サービス、司法施設、その他の施設で活躍しています。

それぞれの分野での仕事について、詳しくご紹介していきます。

医療機関

病院などの医療機器で働く精神保健福祉士は、主治医や看護師、作業療法士、医学療法士など、他の職種と連携してチーム医療を行います。医療職ではないため、医師の指示に従って業務を行うことはありませんが、主治医の指導を受けて精神保健福祉士としての専門的な支援や、他の機関との連携を図ります。

主に、精神科病院や診療所・総合病院の精神科、医療機関に併設されたデイケアなどで活躍しています。

福祉行政機関

行政機関では、法律に基づいて手続きを行ったり、各種の支援事業を担当します。また、地域の精神保健福祉が充実するように、現状を分析し、将来に向けた計画の立案も行います。生活障がい者の生活を支援するために、関係機関との連携を構築し、就労支援や地域住民への啓発活動などの計画・実施や調整なども行っています。

福祉行政機関での就職先としては、自治体や保健所・福祉事務所・精神保健福祉センターなどがあります。

生活支援サービス

生活支援サービスの分野では、家事などの基本的な動作を通じて日常生活の訓練を行ったり、就労前の訓練として作業をすることで社会参加の支援を行ったり…と、目的に応じてさまざまな業務を行います。また、実際の就職活動に助言をしたり、職場に就職した後も職場に定着できるように支援を行ったりするのも精神保健福祉士の仕事とされます。

地域活動支援センターなど、地域生活での支援を目的とする事業所では、電話や訪問相談など、日常生活における支援も担当します。

それから、支援する機関の連携を図り、精神障がい者がよりよい生活を送ることができるように、ボランティアの養成を行うことも。生活支援サービスの分野での就職先としては、グループホームやケアホーム、地域活動支援センター、相談支援事業、就労移行支援事業、就労継続支援事業、自立訓練事業、児童養護施設、救護施設などがあげられます。

司法施設

精神保健福祉士のなかは、矯正施設や保護観察所といった司法施設で活躍している方もいます。司法施設で働く精神保健福祉士は、2003年に制定された“心神喪失等の状態で、重大な互い行為を行った精神障がい者の医療及び観察に関する法律”に基づき、指定された医療機関で、社会復帰調整官や精神保健参与員として社会復帰のためのプログラム作成を行っています。

その他

精神保健福祉士は、ハローワークや介護保険関連施設・社会福祉協議会・教育機関・企業などでも活躍しています。介護保険関連施設では、施設基準における配置基準はありませんが、施設に配置されている精神保健福祉士は、利用者や家族の生活支援や相談支援などを行っています。

また、ハローワークでは精神障がい者の雇用に対するトータルサポーターとして、就労を希望する精神障がい者のサポートや企業の意識啓発等の活動を行っています。教育現場や企業でも、メンタルヘルスに関する専門家として相談援助業務を行っているなど、活躍のフィールドが非常に広い資格職です。

今後ますますニーズが高まる資格

精神にハンディキャップがある方に対し、社会復帰ができるようサポートを行う“精神保健福祉士”。“ストレス社会”といわれ、精神障がいや心の病が身近に感じられる現代において、ますますニーズの高い資格といえます。介護現場以外にも、医療や障がい者福祉、児童福祉など、さまざまな福祉事業に横断的に携わっていくため、専門性を求められる仕事ではありますが、人の役に立ちたいという思いを持っている方であれば非常にやりがいを感じられる仕事です。

資格取得には最低でも4年以上の年数がかかるため、取得を狙うのであれば計画的にチャレンジしていきましょう。