福祉と保育の共通資格、ラヒホイタヤとは?

ラヒホイタヤ
“ラヒホイタヤ”とは、フィンランドにおける福祉分野と保育分野の共通基礎資格のこと。

日本でも、介護福祉士と保育士の資格の統合が検討されたことによって、注目を集めました。
介護と保育の資格を統合するとどのようなメリットがあり、日本で導入が検討されたのでしょうか。

目次

  1. 【1】ラヒホイタヤとは?

  2. 【2】ラヒホイタヤの資格取得後の活躍の場は?

  3. 【3】創設された背景にあるものは?

  4. 【4】“ラヒホイタヤ”に統合された資格とは?

  5. 【5】ラヒホイタヤの資格を取るには?

  6. 【6】ラヒホイタヤの教育費は無料!

  7. 【7】介護の分野で人手不足が予測される中、資格の統合に注目が集まる

ラヒホイタヤとは?

フィンランド語でラヒホイタヤとは、“Lähi”「身近で」、“hoitaja”「世話をする人」を合わせた日常ケアの意味を持つ言葉です。

保健医療分野と社会サービス分野の中卒レベルの資格を一体化した社会・保健医療共通基礎資格として、1993年にフィンランドで創設されました。

 ホームヘルパーや看護師など、さまざまな知識や技術を身に付けれることから、今まで分離していた業務を一貫で行えることで専門性の向上を図ることができていると言われています。

また、1人で全ての業務を行うことができるため、人件費の節約につながっているという見方があり、高齢化が進むことに伴い、介護の分野で人材や介護予算の不足が予測されている日本において、注目が集まっている資格であるといえます。

ラヒホイタヤの資格取得後の活躍の場は?

フィンランドでは、“ラヒホイタヤ”の資格を取得した場合、保育園や在宅サービス、通所型ケア等のオープンケア・地域の公設医療センター等のヘルスセンター、病院やリハビリホームやナーシングホーム・保健医療社会サービスの関する施設などで働くことができるとされています。

資格を取得した人の医療施設・福祉施設への就職率は100%という驚きの数字。教養課程・実習を通してさまざまな分野の専門知識を学び、その知識を活かせる職場で活躍しているようです。

取得の難易度が高い分、意欲が高く優秀な人材が揃うようです。

創設された背景にあるものは?

フィンランドで、社会・保健医療共通基礎資格として創設された“ラヒホイタヤ”ですが、創設されることになった背景には2つの要因があるとされています。

在宅ケアの充実

“ラヒホイタヤ”の創設が検討されていたころ、フィンランドでは施設の収容数を段階的に減らし、オープン(在宅)ケアへと移行させていくという政策が取られました。

これに伴って、マンパワーの総量を変えずに、在宅ケアで必要なケアを行っていくために、1人1人の能力を向上させることが必要となりました。

高齢者の要望を叶えるため

また、サービスを利用する高齢者から、在宅でケアを受けるにあたって、複数の人が入れ替わり立ち代わり訪問するのではなく、さまざまなスキルを身に付けた人が1人で担当してほしいという要望があったとされています。

これらのことが、“ラヒホイタヤ”が作られるきっかけにあったとされています。

“ラヒホイタヤ”に統合された資格とは?

 “ラヒホイタヤ”に統合されたのは、保健医療分野の7つの資格と、社会ケア分野の3つの資格です。

いったいどのような資格が統合されたのか、詳しく見てみましょう。

保健医療分野

 准看護婦:Perushoitaja

精神障害看護助手:mielenterveyshoitaja

歯科助手:hammashoitaja

保母・保育士:lastenhoitaja

ペディケア士:jalkojenhoitaja

リハビリ助手:kuntohoitaja

救急救命士‐救急運転手:lääkintävahtimestari‐sairaankuljettaja

社会ケア部門

 知的障害福祉士:kehitysvammaistenhoitaja

ホームヘルパー:kodinhoitaja

日中保育士:päivähoitaja

ラヒホイタヤは、保育から看護・リハビリ、そして、救急救命まで、幅広い分野の資格をまとめて1つにしたことにより、さまざまな状況に対応する能力を身に付けることが可能となる資格であるといえます。

ラヒホイタヤの資格を取るには?

 

ラヒホイタヤ

 

フィンランドでは、就学前教育である6歳児教育のあと、7歳から16歳を対象とする義務教育を受けるシステムとなっていますが、“ラヒホイタヤ”の資格を取るには、「義務教育後に職業専門学校へ進む」もしくは、「社会人となってから取得する」という2つの方法があります。

職業訓練専門学校からラヒホイタヤを取得するためには、基礎教養部分は30単位、職業資格教育部分が90単位の計120単位を取得する必要があります。

1単位が40時間のため、合計4800時間のカリキュラムを終了する計算になります。

基礎教養部分:30単位(成人教育ルートの場合、省略可)

科目 単位 内容
共通コア科目 20単位 必修16単位

必修選択4単位

自由課題 10単位 学習指導1.5単位以上

基礎共用部分は、1年度及び2年度で取得するものであり、国語・外国語・数学・物理・化学・社会の他、起業支援や労働生活、芸術・文化について学びます。

起業教育は選択科目であり、財務計画の作成や税制に関する知識を学ぶことにより、将来、独立する際の基礎を学ぶことができます。自営業として、自治体の生活支援サービスのアウトソーシング先となることが奨励されています。

職業資格教育部分:90単位(現場実習29単位、起業科目5単位、卒業課題2単位を含む)

共通職業資格教育:50単位(必修)

内容 単位
発達の支援と指導 15単位
看護と介護 20単位
リハビリテーション支援 15単位

共通職業資格教育は、1年度及び2年度で取得するもの。投薬から注射、衛生領域、放射線、アルコール関係について学びます。

看護と介護では、掃除や洗濯・食事について学び、3年度の高齢者ケアの専門課程で栄養学や糖尿病の方への食事を学ぶなど、体系的に学べるようになっています。

専門職業資格教育:30単位(9つから1つ必修)

<専修課程(各30単位)>

  1. 顧客サービス・情報管理
  2. 救急ケア
  3. リハビリテーション
  4. 児童・青少年向けケア・養育
  5. 精神保健及び薬物依存への福祉対応
  6. 看護および介護
  7. 口腔・歯科衛生
  8. 障害者ケア
  9. 高齢者ケア

追加的職業資格教育:10単位(下記のコースから選択)

<若年教育ルート、成人教育ルート共通で選択>

社会・保健医療ケア基礎資格教育からの単位取得コース(10単位)

他の職業基礎資格教育からの単位取得コース(5~10単位)

職業資格からの単位取得コース(※)

特別職業資格からの単位取得コース(※)

<若年教育ルートのみ選択可能>

高等職業教育からの単位取得コース

地域的に提供される社会・保健医療ケア基礎資格教育からの単位取得コース(5~10単位)

起業教育(10単位)

現場指導員予備教育(2単位)

職業教育の深化・拡大コース(5~10単位)

職業技能補充教育(共通コア科目より選択)(5~10単位)

高等教育(0~10単位)

ラヒホイタヤの教育費は無料!

フィンランドは、就学前の教育から大学院の教育まで教育費は原則無料となっています。ラヒホイタヤの教育費には、学費はもちろん、給食費や文房具、そして、5キロ以上の交通費もすべて含まれています。つまり、国が人材を育てるために、多額の費用を投じているということができます。

カフェでの朝食が無料となっているところもあるため、集中して学ぶ環境が整えられているというのも特徴としてあげられます。

介護の分野で人手不足が予測される中、資格の統合に注目が集まる

2025年には、約33万人もの介護職員が不足すると予測される中、介護福祉士と保育士の資格を統合することが検討されました。

求められる技術に大きな違いがあるため、資格の統合についてはいったん見送りとなりましたが、共通基礎課程と専門課程の検討によって、平成33年度には新たな共通基礎課程が実施できるようにということを目標とするなど、複数の資格を取得しやすくする動きがはじまっています。