介護の知識と技術をより実践的に学ぶ「実務者研修」

介護の入門資格として最も一般的な資格は「介護職員初任者研修」ですが、その上位資格となる「実務者研修」も無資格・未経験からチャレンジできる資格です。その概要を解説します。

目次

  1. 【1】実務者研修ってどんな資格?

  2. 【2】実務者研修修了のメリット

  3. 【3】働きながらキャリアアップを目指す方におすすめ

介護の入門資格といえば、「介護職員初任者研修」がポピュラーですが、そのステップアップ資格である「実務者研修」も、無資格・未経験でも受講することができます。いったいどんな研修制度なのでしょうか。

実務者研修ってどんな資格?

実務者研修は、介護職員の質の向上と、介護職員のキャリアアップの仕組みを一本化することを目的に整備された新しい研修制度です。初任者研修の上位資格にあたり、旧介護職員基礎研修および旧ホームヘルパー1級資格にかわる資格という位置づけになります。

実務者研修の受験資格

国家資格である介護福祉士とは違い、実務者研修に受講資格はないため、誰でも受講することができます。また、研修というかたちをとっているため試験はなく、受講だけで修了となります。通学か通信か、どのようなスケジュールで受講するかによっても異なりますが、無資格の方が受講を開始してから修了するまでにかかる期間は、およそ半年ほどといわれています。

実務者研修の難易度

実務者は、修了試験の実施は義務付けられていませんが、スクールによっては理解度の確認のために修了試験を実施しているところもあります。受講時間が長く、学ぶ範囲も広いので、一見難易度が高いように感じるかもしれませんが、じっくり学びすすめていけばそう難しくありません。

介護職員初任者研修との違いは?

介護職員初任者研修が介護の基礎を学ぶ入門的な資格であったのに対し、実務者研修はより実践的に介護を学ぶ、いわば応用の資格です。初任者研修の受講時間は130時間ですが、実務者研修は450時間[1]とボリュームが多く、より専門性を深める内容になっています。

[1]旧ホームヘルパー2級資格の取得者や介護職員初任者研修の修了者は、450時間の受講時間のうち、130時間が免除となります。また、旧ホームヘルパー1級の取得者は450時間のうち355時間が免除に、介護職員基礎研修の修了者は400時間が免除となります。

介護福祉士の受験資格にも

介護業界の国家資格である「介護福祉士」。介護福祉士の試験を受けるには、専門課程を設けている学校へ進学をするか、実務者研修を終了し、かつ3年以上の実務経験が必要です。これまでは、無資格者であっても、3年以上現場で実務経験を積むことで、介護福祉士の試験を受験することができました。ですが制度改正により、2017年1月の介護福祉士試験から、実務経験ルートで受験する場合、実務者研修の修了が義務付けられるように。実務経験ルートで介護福祉士を目指す場合、実務経験を積みながら並行して実務者研修を修了できるよう計画しておくことが大切です。

介護職のキャリアアップのセカンドステップ資格

実務者研修は、介護職のキャリアアップモデルのセカンドステップとなる資格です。多くの方は介護職員初任者研修を受けて介護の基礎を理解してから、実務者研修でより実践的な知識と技術の習得を行います。それ以降の資格としては、「介護福祉士」が介護現場で働く最上位資格として位置づけられていましたが、「認定介護福祉士(仮称)」という資格が、介護キャリアパスの中で最上位資格に設置されるという動きがあります。とはいえ、まだその詳細は未定。今後の動きに注目したいところです。

実務者研修修了のメリット

医師や看護師とは違い、介護の仕事は従事するのにかならずしも資格を求められるわけではありません。ですが、介護の現場には、実務者研修を修了していないと行うことができない業務もあります。

サービス提供責任者(サ責)になれる

訪問介護事業所に必ず配置しなければならない「サービス提供責任者」。サービス提供責任者になるには、実務者研修の修了か介護福祉士の資格が必要となります。

「旧ホームヘルパー2級を取得し、3年以上の実務経験を積んだ方」もサービス提供責任者になれますが、平成25年4月より、旧ホームヘルパー2級ルートでサービス提供責任者になった方を配置している事業者は、介護報酬から10%も減額されてしまうため、訪問介護事業者は実務者研修修了者を確保しておきたいというのが本音。人材不足の介護業界、実務者研修修了者はどのような現場からも求められますが、特に訪問介護におけるニーズは高く、就職・転職活動が有利に運びやすいというメリットがあります。

たん吸引と経管栄養の基礎が学べる

実務者研修を修了すると、以前までは医師や看護師以外には認められていなかった、たん吸引や経管栄養を行うことができるようになります。高齢者の介護に欠かせない「たん吸引」や「経管栄養」は、医療行為に分類されます。本来は、医師や看護師などの国家資格を有する人にのみ許されていますが、この2つについては「喀痰吸引等研修」を修了した介護職員であれば行うことが可能です。喀痰吸引等研修は「基本研修」と「実地研修」の両方を受けなければなりませんが、実務者研修修了者は基本研修が免除に。担当できる業務の幅が広がりますので、ぜひ習得しておきたいですね。

働きながらキャリアアップを目指す方におすすめ

介護の基礎を初任者研修よりも実践的に学ぶことができる実務者研修。介護現場の即戦力として働きたい方はもちろん、介護業界でキャリアアップしていきたい方にもおすすめの研修です。初任者研修を終了せずにいきなり実務者研修にチャレンジすることもできますので、いつまでに、どのようなスケジュールで受講するか、しっかりと計画を立てて受講するのがおすすめです。