「先回り」のケア改革に注目!オーストラリアの介護事情

世界有数の長寿大国であるオーストラリア。日本と違って超高齢化社会への突入はまだ先ですが、既に充実した介護制度が整備されているようです。
今回は、そのような「先回り」のケア改革に取り組んでいる、オーストラリアの介護事情についてご紹介していきます。

目次

  1. 【1】介護保険がない!一般税で介護財源を賄っているオーストラリア

  2. 【2】オーストラリアの介護は「在宅ケア中心」へ移行済み!

  3. 【3】オーストラリアの最新高齢者ケア改革、「在宅ケアパッケージ」

  4. 【4】オーストラリアのケアの要!世界初の介護アセスメント機関「ACAT」の役割

  5. 【5】「介護者」を守るために。オーストラリアのケアラー支援

  6. 【6】オーストラリアの介護の強みは、「国のスピーディーな対応」

介護保険がない!一般税で介護財源を賄っているオーストラリア

さて、オーストラリアの介護事情についてご紹介する前に、まずオーストラリアの特徴的な社会保障制度について解説していきます。オーストラリアの福祉サービスは、すべて一般税を財源として運営されています。つまり、介護保険を始めとした社会保険制度が存在していないんです!

その代わり、オーストラリアには無拠出の年金制度「老齢年金」が存在しています。そのため、高齢者は金銭的な負担なく介護を受けながら暮らしていけるようになっているんです。

また、医療についても「メディケア税」として収入の1.5%が徴収され、その財源でケアが提供されるため、医療費も無料となっています。

もちろん、その分所得税などは日本よりも高額になっていますが、追加の金銭負担なく福祉サービスを利用していける点は大きなメリットといえるでしょう。

オーストラリアの介護は「在宅ケア中心」へ移行済み!

オーストラリアでは、「慣れ親しんだ環境で出来る限り自立した生活を営むことが、本来の人間の尊厳にも合致する」という考えから、在宅ケア中心の介護サービスが展開されています。

従来は日本と同じく施設中心の介護政策をとっていたオーストラリアですが、1985 年の在宅介護コミュニティケア法(Home and Community Care Act:HACC法)の制定からは、「在宅介護・地域介護」への転換を図っています。

◆オーストラリアの施設ケアは?

介護サービスの多くが在宅ケアへと移行されているオーストラリアですが、重度の要介護者のためには施設入居によるケアが提供されています。

公的なものとしてはバリアフリーの集合住宅である「ホステル」、日本の特別養護老人ホームにあたる「ナーシングホーム」があり、要介護度の高い方が24時間体制で介護を受けて安全な暮らしを送っていけるようになっています。

その他には民間施設として「リタイヤメント・ヴィレッジ」という老人ホームがありますが、こちらは日本の高級老人ホーム顔負けのゴージャスさが特徴!テラスハウス形式やアパート形式を取り、「第二の住宅」として優雅な暮らしを送っていけるようになっています。民間施設のため、要介護者だけでなく自立状態にある方でも利用できるようです。

オーストラリアの最新高齢者ケア改革、「在宅ケアパッケージ」

30年以上も前から、在宅ケアを軸とした介護を行っているオーストラリア。現在、更なる高齢者ケア改革に取り組んでいるんです。

その中心となるのが、「在宅ケアパッケージ(Home Care Packages)」という制度。従来提供してきた複数の介護プログラムをひとつに統合し、在宅ケアを軸とした介護サービスの展開をより推進するというものです。

在宅ケアパッケージはレベル1~レベル4の4段階に分けられており、生活支援などの軽度サービスから重度の心身介護を行うサービスにまで区分されています。

◆在宅ケアパッケージの軸にある「消費者主導のケア」って?

在宅ケアパッケージは、「消費者主導のケア(Consumer Directed Care:CDC)」という概念に基づいて展開されています。

こちらは介護サービスの利用者本人が、必要なケアの種類や受けるサービスの決定過程に深く関与するといったことを義務付ける概念で、要介護者の意志を最大限に尊重するためのものです。

 

このように、徹底してサービスを受ける側の権利が尊重されているのがオーストラリアの介護の姿なんです!

オーストラリアのケアの要!世界初の介護アセスメント機関「ACAT」の役割

さて、ここまでオーストラリアの介護制度について紹介して来ましたが、高齢者一人ひとりに提供されるケアについては誰が決めているのでしょうか?日本ではケアマネジャーなどがそれを行っていますよね。

オーストラリアでは、ACAT(Aged Care Assessment Team)という世界初の介護アセスメント機関がチームでアセスメントを行い、個々への最適なケアの提供を実現しています。

(注)介護アセスメント…介護の利用者の心身状態や生活状況、利用者と家族の希望するケアなどの情報を収集して、最適なサービスを査定すること。

ACATは、医師・看護師・ソーシャルワーカー・理学療法士・作業療法士などによって構成され、高齢者2万人に対し1チームの割合で置かれています。高齢者一人ひとりの身体的・精神的・社会的機能を正確に査定し、ケアの要否の判定を行うことがメインの役割です。

◆オーストラリアの要介護認定「RCS」って?

ACATへアセスメントを申請した高齢者は、RCS(Residential Classification Scale)という指標に基づき要介護認定されます。RCSは8段階に分けられており、1~4が重度とされナーシングホーム・ホステルなどの介護施設で入居サービスを受けることになります。5~8は比較的軽度とされ、主に在宅介護サービスを受けて生活していくことになります。

「介護者」を守るために。オーストラリアのケアラー支援

また、在宅ケアをメインとしているオーストラリアでは、要介護者だけでなく「介護をする側」にも手厚いサポートが与えられます。

1997年の高齢者ケア構造改革にて「ケアラー支援」が施設ケア・在宅ケアの整備と並ぶ重要な課題とされ、加齢・病気・障害などを抱える家族をケアする層のさまざまな負担を取り除く政策が取られています。

ケアラー支援は以下の3点を軸として実行されています。

レスパイトケア

レスパイトケアとは、短時間の介護サービスのことです。自宅または施設にて数時間~数日に渡って介護を代行するサービスで、日本におけるショートステイなどに近いサービスとなっています。

オーストラリアではケアラーの負担やストレスを軽減するため、レスパイトケアの利用が積極的に勧められています。貧困家庭に対しては利用料の減額などを行い、誰もがこのサービスを活用して介護の負担を軽減しながら暮らせるようになっています。

レスパイトケアについての詳細はこちら! → https://www.kaigoplus.com/post/useful/method8-2

金銭的支援

オーストラリアでは自宅介護を行う方々に対して「介護者報酬」「介護者手当」という2種類の金銭的支援制度が実施されています。家族や同居人の介護によってケアラーの生活困窮しないよう、最高で収入にとって変わるレベルの給付を受けることができる制度です。

情報提供

ケアラーは、オーストラリアの各州に設置された「介護者支援センター」を利用することで、電話相談や自宅訪問によるカウンセリング、介護者向け情報キットの配布といったサービスを無料で受けられます。こちらは事前の予約や登録などが不要で、必要なときにすぐ利用できる点が強みとなっています。

オーストラリアの介護の強みは、「国のスピーディーな対応」

日本とオーストラリアは、同じ「中福祉・中負担」国家でありながら介護制度にさまざまな違いがありました。そんなオーストラリアの強みは、新たな制度を次々と導入する「国の対応の迅速さ」。日本でも同じようにスピーディーな法整備が行われていけば、より良い介護制度が確立されて行くのではないでしょうか。

たしかに、法律や社会制度、文化などにさまざまな違いがあるため、オーストラリアのやり方をそのまま取り入れることは難しいでしょう。ですが、「何をしているのか」「どうやっているのか」を知ることは、日本の介護における問題を考えるヒントになるはずです。

介護ぷらす

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