外国人材求む!ドイツの介護士事情って?

ドイツ介護 介護士
ドイツでは、介護士不足が深刻で現在ではさまざまな外国人材が活躍しています。今回はドイツの介護士についてくわしくご紹介します。

目次

  1. 【1】ドイツの介護士の起源に迫る!

  2. 【2】ドイツの介護資格は?

  3. 【3】ドイツで介護士になるには?

  4. 【4】ドイツでは外国人で人材不足を緩和

  5. 【5】グレーマーケットの成長、外国人材受入の問題点

  6. 【6】国内人材にも目を向けて

ドイツの介護士の起源に迫る!

まずは、ドイツの介護士の成り立ちを見ていきましょう。話は高度成長期以前にさかのぼります。

ドイツでは家族が介護を担当するのが当たり前とされてきましたが、1,960年代の高度経済成長期から大きな変化を迎えます。産業の興行により働き手が増えて、家族で介護をする余裕がなくなってしまったのです。それに加えて、親と子が離れて暮らす核家族化も進行していきました。

もちろん、それ以前に介護を専門的に担っている人材は存在しており、主に修道女が老人の世話をしていましたが、その修道女も時代とともに減少していきました。

その中で、白羽の矢が立ったのが、子育て経験をもつ主婦です。

特に、病院内で介護の手は不足していたので、主婦を中心した人材は、介護と医療の知識を教え込まれて介護の専門家となった、という経緯があります。

ドイツ 介護士

このように病院での需要があったため、現在のドイツの介護士の教育カリキュラムは、医学的な専門知識を重視したものになっています。

ドイツの介護資格は?

ドイツの介護士は、「老人介護士(Alten pfleger)」及びその下位資格の「介護助手(Altenpflegehelfer)」とされ、国家資格となっています。それぞれどんな仕事をしているか確認していきましょう。

介護助手(Altenpflegehelfer)

老人介護士の指示に基づき、要介護者の入浴・排泄・食事などの基本的な身の回りの世話をします。さらにレクリエーションの活動支援やベッドメイキングなどの生活環境の整備といった役割も担っています。老人介護士との明確な違いは、医療行為に従事できないところにあります。

老人介護士(Alten pfleger)

老人介護士は介護助手が担う要介護者の介護に加えて、痰の吸引・インシュリン注射・服薬管理といった医療行為をすることができます。

介護助手は老人介護士と比べて、できることの幅が制限されていますが、基本的な介護は行うことができるので、現場では介護を担う人材としての需要があります。

ドイツで介護士になるには?

次にドイツで老人介護士の資格をとるには、どんな過程を経るのかを説明していきますね。まずは、介護の知識を得るために、老人介護士養成学校に入らなければなりません。養成学校に入るには、自治体によって差はありますが、いくつかの条件が必要になります。

・年齢要件(主に17歳以上が多いです)

・実科学校を卒業

(実科学校:10~16歳まで就学、卒業後は専門職の学校への入学資格を得る)

・実科学校の卒業試験の試験が一定の基準を達成していること

・施設・病院等で実習の経験があること、もしくは、実習受け入れ機関で仮実習を修了しおり、評価を得ていること

学校へ入るための試験を受けなくてはいいのですが、施設での実習を終える必要があります。学生の間からの職業訓練が盛んなドイツらしい制度とも言えますね。

老人介護士入学後は理論教育と実務教育のスタートです。理論教育よりも実務教育にかかる時間数の方が多いので、こちらも実践重視です。介護助手の場合は1年間、老人介護士の場合では3年間の養成機関が必要です。

最後に筆記試験・口述試験・実技試験を受けて、合格基準を満たすと、卒業と同時に資格を得ることができます。

ドイツでは外国人で人材不足を緩和

ドイツも高齢化社会を迎えている国です。今後も要介護者が増加することが予測されている中で、如何に介護を担う人材を確保するかが問題になっています。

ドイツ介護士の現状

ドイツでは、日本と同様に慢性的な介護士不足に陥っています。この背景は、介護の現場の労働環境の悪さや、体力を使う仕事の割に賃金が低いということが影響しています。国内でも老人介護士を国家資格にするなど、介護職へ引きつける対策を行っていますが、思うような効果は得られていない様子。介護士の社会的な地位向上はまだまだ課題です。

外国人材の登用

ドイツの現状では、なかなか国内から介護士を集めることは容易ではありません。そこで、政府は外国人の人材を積極的に雇用するという策に打って出ました。登用する外国人を始めはEU内から集めていましたが、現在ではEU域外からの募集まで手を広げています。

EU域内

EU圏内では東欧諸国から、介護の人員を集めています。EU内では人とモノが自由に行き来できるので、自国よりも給料水準の高いドイツに人員が集まってくるようです。しかし、問題はこれらの人材を長く自国に留めることが難しいこと。ドイツで専門的な知識を得た後で、より条件の良い国へ移住してしまう人も多いんです。イギリスへの移住が代表的でしたが、イギリスはEU離脱が決定されたので労働力の移動が制限される可能性があります。

また、東欧の介護人材そのものが減少してしまうことも懸念されています。というのも、東欧諸国でも高齢化が進み、介護人材の国外流出を抑えようという動きが出ているのです。EU圏内からの介護人材受入れが今後ますます難しくなるでしょう。

EU域外

EU圏外からの介護の人材を募集する例として、フィリピンやベトナムなどのアジア人材が挙げられます。しかし、ドイツの介護人材不足を補うほど十分に人材が集まっているとは言えない状況です。問題はやはり人材の定着。ドイツに渡ったからと言って、そのままドイツに居続けるとは限らないのです。文化の違いに悩み、母国に戻ってしまう人も少なからずいます。

介護人材の定着を目指して

外国人材の定着のため、ドイツは大きく分けて二つの対策を行っています。

一つはスキルアッププログラムの提供です。外国人材の介護士養成学校にドイツの介護士育成カリキュラムを組み込んだり、ドイツ語の学習プログラムを導入したりしています。さらに、ドイツに渡った後も、ドイツの養成学校に入学させてより専門的なスキル習得の支援を行っています。

二つ目はドイツでの生活サポートです。ドイツでの生活に適応することができるような文化プログラムを提供しています。

ドイツでは育成の段階から支援を行なうことで、ドイツで長く介護を続けてもらうことを目指しています。

グレーマーケットの成長、外国人材受入の問題点

介護士が足りないという課題に加えて、ドイツでは在宅介護の需要も増えていて、それに対応する人員確保も急がれています。しかし、ここに新たな問題が浮上してきました。

施設入居と異なって、在宅介護は他者の目が届きにくいんです。そこで、国の労働法規にあてはまらない外国人労働者を、在宅介護の人員として用いる家庭が増えてきました。これは正規の資格を得た介護士よりも、素人の外国人材を雇う方が安く済ませることができるからです。

しかし、これはトラブルのもとになる恐れもあります。素人の外国人材は介護の専門的な知識を持っていないため、不充分な介護サービスが提供される恐れもあります。そして、他者の目が届かない閉鎖的な環境が問題の表面化を妨げるといった悪循環に陥っています。

国内人材にも目を向けて

ドイツ 介護士

ドイツと同じように日本も介護士不足は深刻です。日本もEPA合意によって海外からの人材を集めていますが、ドイツの例を見ると安易に海外人材に頼ろうとするのは考える余地がありそうです。海外だけではなく、国内の人材の確保・定着に力を入れることも重要と考えられますね。

ドイツでは国内人材確保の取り組みの指針として、女性の就業率向上や失業者を訓練によって介護職へ誘導すること、労働条件の改善などを挙げています。将来的な介護需要にどう応えていくのか、今後のドイツの取り組みが注目されますね。

介護ぷらす

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