必要となる支援がわかる。「認知症ケアパス」を知っておこう

認知症ケアパスとは
「過去のことが思い出せない」「時間や日付がわからない」など、さまざまな症状で知られる認知症。認知症といってもその症状は人それぞれ異なるもの。もしも認知症になったとき、どんな支援があるのか、どのように受けるのか…当事者にならないとわからない情報を提供しているのが「認知症ケアパス」です。詳しく解説します。

目次

  1. 【1】そもそも認知症ってどんなもの?

  2. 【2】知っておきたい認知症ケアパスのこと

  3. 【3】認知症ケアパスでいきいきとした生活を送ろう!

加齢や病気によって発症する認知症。内閣府の調査によると、認知症の患者数は2025年には約700万人、高齢者の5人に1人になると推計されています。進行のスピードや症状は人それぞれ異なりますが、発症によって日常生活に支障をきたしてしまうことも少なくありません。もしも自分や家族に認知症の兆候が見られたとき、いつ・どのようなタイミングで、どんな支援を受ければいいのか…そんな情報を提供しているのが「認知症ケアパス」です。

そもそも認知症ってどんなもの?

認知症ケアパスとは

認知症とは、加齢や病気など、さまざまな原因によって脳細胞が変性し、記憶力・判断力・認知力の低下が起こって生活に支障が生じた状態を指す言葉です。代表とするものにアルツハイマー型認知症がありますが、レビー小体型認知症や脳血管性認知症、前頭側頭型認知症など、さまざまな種類に分けられます。

認知症の進行度

認知症の進行度はMCI・初期認知症・中期認知症・後期認知症に分けられます。

MCIは、認知症ではないものの、年齢よりも認知機能が低下した状態を指す言葉です。記憶・理由づけ・実行などの認知機能のひとつに問題があっても、日常生活には支障ありません。認知症の一歩手前であるMCIの段階から予防に取り組むことで、認知症の発症を遅らせることができると考えられています。
初期の認知症では、計算ができなくなったり、大事な約束を忘れてしまったり…と、少しずつ認知症特有の行動が現れはじめます。とはいえ、誰かの見守りがあれば自立した日常生活を送れる状態です。

中期認知症になると、季節に合った洋服を選べなくなったり知人のことがわからなくなる…といった症状が現れはじめます。この段階になると、日常生活に介護や手助けが必要となります。
後期認知症では、身近な家族の顔がわからなくなったり、身体を自由に動かすことができなくなったり…ということが起こり始めます。

物忘れと認知症はまったくの別物

認知症というと“物忘れ”という症状を思い浮かべる方も多いと思いますが、物忘れには“老化によるもの”と“認知症によるもの”とがあります。その違いを表にまとめると下記のようになります。

老化 認知症
原因 脳の老化 神経細胞の変性や脱落
物忘れ 一部を忘れる

ヒントを出すと思いだせる

体験そのものを忘れる

ヒントを出されても思い出せない

判断力 あまり進行しない 進行する
日常生活への影響 支障はない 支障がある
自覚 あり ない

 

知っておきたい認知症ケアパスのこと

認知症ケアパスは、認知症を抱える方をサポートするための情報を、認知症のステージごとにマップとしてあらわしたもの。認知症の種類にもよりますが、認知症では多くの場合、初期段階でアクションを起こすことで進行を遅らせることができるといわれています。ですが、どんなときに、どのような医療や介護の支援が必要となるのかを知らなければ、適切なアクションをとることができません。

そんなとき、認知症ケアパスがあれば、医師や介護支援専門員、介護サービス事業者など、認知症の方がこれから関わっていく領域が明確になります。また、地域にある介護サービスを知ることができるため、一人ひとりに寄り添った計画を立てていくことができると考えられています。

認知症ケアパスはどこで手に入れる?

認知症ケアパスの作成は、自治体が主導して行っています。多くの自治体は公式ホームページからダウンロードできるようになっていますが、なかには役所や地域包括支援センターで配布を行っている地域もあるようです。

認知症ケアパスは新オレンジプランのひとつ

認知症ケアパス”は、2012年6月に厚生労働省が発表した「地域包括ケアに基づいて、地域の行政の役割を明確化し、医療・介護の連携や市民・医療関係者の教育研修を目的とする認知症施策推進5か年計画戦略“オレンジプラン”」を改定した“新オレンジプラン”の政策のひとつです。

新オレンジプランは「認知症の人の意思を尊重し、出来る限り住み慣れた地域で自分らしく生活できる社会を実現すること」を目的に、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて策定されたもの。2025年には患者数が約700万人にものぼると推計されている認知症。新オレンジプランは、認知症を抱えていても安心して暮らせる地域をつくるため、医療・介護・生活支援・住まいなどを包括的にケアするための戦略です。

認知症のサポーターカラーが“オレンジ”である理由って?

認知症サポーター

新オレンジプランの名称にも含まれる“オレンジ”は、認知症をサポートする事業や取り組みのイメージカラー。実は、オレンジ色を使うのには意味があり、江戸時代から続く陶工である酒井田柿右衛門が手がけた赤絵磁器に由来します。

まるで熟した柿のようなオレンジ色には、「柿の実の色にインスピレーションを受けて生まれた赤絵磁器が世界に広まったように、認知症をサポートするためのさまざまな取り組みが広がっていきますように…」という願いが込められているのだそう。また、温かみのあるオレンジは「手助けします」という意味を持つといわれています。

新オレンジプランってどんな政策?

新オレンジプランは、認知症を抱えても暮らしやすい地域をつくるための政策です。柱となる7つの取り組みが行われています。

  1. 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
    認知症に付いて理解し、身近な病気であることを実感することで、社会全体で認知症の人を支える基盤を作るというもの。認知症サポーターを育成し、その活動を支援していくことなどが行われます。
  2. 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
    進行性の疾患である認知症。そのため、進行状態に合わせて医療や介護・地域や関係機関が連携して、適切なサービスが提供できる仕組みを構築するのを目的としています。
  3. 若年性認知症施策の強化
    認知症にかかるのは高齢者だけではありません。若い人が発症した際に対して、就労支援や居場所づくりなどの社会参加を支援していきます。
  4. 認知症の人の介護者への支援
    認知症を発症すると、発症した本人だけでなく、介護する人にとっても大きな負担となります。そのため、介護する人の負担を軽減し、介護と生活が両立できるように、教室や情報共有のできる認知症カフェ等の普及を目指しています。
  5. 認知症を含む高齢者に優しい地域づくりの推進
    認知症患者だけでなく、高齢者が住みやすい社会にするために、生活支援や環境整備等を目指しています。
  6. 認知症の予防法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
    認知症のメカニズムの解明のため、当事者の研究への参加を促すものです。また、ロボット技術を利用した介護支援機器等、予防・治療・介護と多岐にわたる対応を目指して行きます。
  7. 認知症の人やその家族の視点の重視
    住み慣れた地域で生活するために必要なものを、当事者や家族の視点を重視して調査していくというものです。

厚生労働省だけでなく、内閣府や内閣官房・警察庁・総務省・法務省・金融庁・文部科学省・農林水産省・国土交通省・経済産業省・消費者庁といった関係府省庁と共同して策定された新オレンジプラン。

基本的な考え方は、「認知症の人が、住み慣れた地域の環境で自分らしく生活できる優しい地域づくりを推進していく」ということ。医療従事者だけでなく、企業や団体・地域など、それぞれの立場での役割を果たしていけるようになるといいですね。

認知症ケアパスでいきいきとした生活を送ろう!

高齢者の5人に1人が認知症を抱えるといわれる時代に差し迫る今、認知症はもはや他人事ではありません。認知症の進行を遅らせるには、なるべく早い段階でケアをはじめることが大切。認知症の当事者はもちろん、「もしかして…」と不安を感じている方は、ぜひ認知症ケアパスを手に取るところからはじめてみてはいかがでしょうか。

介護ぷらす

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

最新の介護お役立ち情報をお届けします。