どちらも放っておけない!育児と介護が同時に迫る「ダブルケア」の深刻さ

晩婚・晩産化が進む近年、育児と介護が同時期に訪れてしまう「ダブルケア」のリスクを抱えている方は増えているようです。ダブルケアの実態と、負担軽減の方法をご紹介します。

目次

  1. 【1】育児と介護の同時進行…問題視されているダブルケアの実態とは

  2. 【2】時間が足りない!ダブルケアの問題点

  3. 【3】ダブルケアの負担を減らそう!考えられる対応策は?

  4. 【4】自治体のダブルケア問題への取り組み

  5. 【5】つらくなったら頼ってみよう。広がるダブルケアサポートの輪

女性の社会進出がめざましい近年。初産での出生数は35歳以降の年代で増加傾向にあり、この30年で初産の平均年齢は4歳も引き上げられているという実態があります。晩産化が進み、育児をスタートさせる年齢が遅くなることで高まるのは「ダブルケア」のリスクです。育児と介護が同時に訪れる、ダブルケアの実態に迫ります。

育児と介護の同時進行…問題視されているダブルケアの実態とは

ダブルケアとは、育児と介護を同時に行っていくことを指す言葉。内閣府男女共同参画局が発表したデータによると、ダブルケアに直面している人は全国でおよそ25万人。これは、平成24年に実施された就業構造基本調査から推計される数字で、今後も晩婚・晩産化が進むことでさらに人数が増えることが予想されます。

また、ダブルケアに直面している方の多くは女性です。もちろん男性も大勢いるものの、その人口は男性約8人、女性約17万と圧倒的に女性の方に偏っています。女性の社会参画が目指されている今、ダブルケアは大きな障害となっています。

時間が足りない!ダブルケアの問題点

子育てと介護の両立が求められるダブルケアでは、しなければならないことが山積みです。いったいどんな問題が立ちはだかるのでしょうか。

仕事の時間が削られる

ダブルケアラー(ダブルケアの当事者)の多くは、働き盛りの40代です。時短勤務や介護休暇など会社側が対応してくれればいいのですが、会社からの理解が得られないと子育てや介護のために仕事をあきらめてしまう方も出てきます。

子どもとの時間がとれない

ある程度子どもが大きくなり、自分の身の回りのことを自分でできるようになると、どうしても介護のほうにかかりきりになってしまいます。なぜなら、介護を必要とする人は自分ひとりで生活できないからです。とはいえ、介護に時間をとられて大切な我が子との時間が減ってしまうのは親としては切ないもの。思うように子どもとの時間をつくることができず、ジレンマを抱えてしまうというのもダブルケアのつらさです。

自分の時間をとれない

育児に介護、さらに仕事や家事…。ダブルケアラーには「自分の時間がない」と感じる方が多いようです。周りに育児や介護を手伝ってくれる方がいない場合、特に自分の時間が削られることになります。さらに、「専業主婦なのだから家事もすべき」「経済的に不安定なので仕事を続けてほしい」となると、介護・育児・家事・仕事…と、本当にリフレッシュする時間がなくなってしまいます。

行政サービスが整えられていない

現在の日本の行政制度ではダブルケアに対応しにくいといわれています。なぜなら「介護は介護保険制度の視点で、育児は育児支援のみの視点で」という個別の視点で制度がつくられているからです。このままでは介護と育児の両方の問題に、まとめて対応することができません。

自治体に相談に行っても介護と育児の窓口で連携がとれていないことが多く、窓口が変わるたびに同じ説明を繰り返さなければならないケースがほとんどです。これでは相談行くこと自体が負担になってしまいます。

ダブルケアの負担を減らそう!考えられる対応策は?

ダブルケアは一人でがんばろうとすればするほど追い込まれてしまうもの。ダブルケアに直面している人の負担を少しでも軽減させる方法を紹介します。

夫や家族、親戚の手を借りよう

近くに親戚がいる方は、親戚に手伝ってもらえるかを確認してみてもいいでしょう。自分以外の誰かに手伝ってもらうだけでも、かなり負担は軽減されます。それに、もし夫や親戚に手伝いを頼むことができれば、どれだけ育児や介護が大変かを知ってもらう機会にもなります。今の状況を伝えながら、洗濯や掃除など、できるところから周りに協力を求めていきましょう。

介護・保育のプロの力を借りよう

近年では、介護や保育の市場が拡大してサービスも充実しつつあります。自分ですべて何とかしようと考えずに、プロの力を借りて負担を減らすのも一つの手です。

「自分の子どもや親の介護のことで、周りに迷惑をかけられない…」と思う方もいますよね。その点、頼む相手はそれをお仕事にしている方ですから、遠慮なくお願いできます。

 

続いて、いくつかの利用例を紹介します。

訪問介護やデイサービスの利用

育児も介護も自分の手で…という思いを抱える方であっても、時間や体力には限りがありますから、どうしても限界が来てしまいます。そんな時は訪問介護やデイサービスを頼るのも手。どちらを選ぶかは介護を受ける人の体調で決めましょう。

自分で動いて施設へ行く体力があるのならデイサービス、家から出るのがむずかしい場合は在宅での訪問介護、といった具合に使い分けるのがおすすめです。

家事代行サービスの利用

育児・介護に加えて家事にも追われている方の場合、家事をプロに頼むのもおすすめです。基本的には掃除・料理・洗濯といった家事をお願いすることができますが、そのサービス内容は会社によってさまざまです。状況にあったサービスを展開している会社を選びましょう。

ダブルケアラーのコミュニティに入ろう

地域によってはNPO団体や包括支援センターが「ダブルケアカフェ」を主催して、ダブルケアの悩みを話し合い、情報を共有する場をつくっています。一人で抱え込まないで同じ問題を抱える当事者同士で話し合うことで、精神的な負担もやわらぎますし、ダブルケアラーの先輩から何か生活のヒントをもらえるかもしれません。

自治体のダブルケア問題への取り組み

ダブルケアの問題を受け止め、解決のために独自の取り組みを行っている自治体も増えています。その中でも積極的な働きかけの事例として横浜市と堺市、京都府を見てみましょう。

「ダブルケアラー」へのケア ―横浜市とNPOの連携プロジェクト―

子育てを介護の両方を抱える「ダブルケアラー」をサポートする体制が横浜市で広がっています。孤軍奮闘状態に陥り、孤独を感じる方も多いといわれているダブルケアラーの精神的負担を減らすために「ダブルケアサポート横浜」というプロジェクトが立ち上がりました。

このプロジェクトの目的は、ダブルケアのサポーターを地域に増やして支え合いのネットワークをつくること。活動としては、子育て施設や介護施設で働いている職員へ向けてダブルケアの視点を取り入れた研修プログラムの開発と、ダブルケアに関するハンドブックの作成などが行われています。ダブルケアラーをサポートできる人員を増やし、ダブルケアの情報を共有しあえる環境を整えていくというものです。

さらに「ダブルケアサポート横浜」にはもうひとつ注目すべきところがあります。実はこのプロジェクト、NPOと市のクラウドファンディングが連携して立ち上げられたものなのです。クラウドファンディングという仕組みですから、市民の方々から広く集めたお金が資金となっており、横浜市は補助金をいっさい出していません。

福祉や保育の政策にかかる費用の増大で自治体の財政が圧迫されている今、クラウドファンディングやNPOとの連携は自治体にとって有効な手段となるかもしれませんね。

「ダブルケア相談窓口」を独自に設置する堺市

大阪府堺市の取り組みも注目を集めています。

堺市ではこれまで介護・子育ての相談を別々の窓口で行ってきましたが、その両方の問題を抱えるダブルケアラーには十分な体制ではないとして、7区役所の基幹型包括支援センターに「ダブルケア相談窓口」を設置しました。ここでは介護の専門知識をもつ職員が、研修を受けて子育ての知識も習得し、介護とともに子育ての相談にあたっています。

京都府「仕事と介護・子育て 両立支援ガイドブック」

京都府でも介護と子育てのダブルケア人口の増加を受け止め、ダブルケアを踏まえた内容のガイドブックを作成しています。ガイドブックの中で、仕事・子育て・介護といったさまざまな悩みを抱える方に向けて地域包括支援センターの利用をすすめています。

さらに「仕事とダブルケア(育児・介護)の両立に関する府民実態調査」を府で実施するなど、ダブルケアに直面している方の声に応えようとしています。

つらくなったら頼ってみよう。広がるダブルケアサポートの輪

ダブルケアは社会問題として大きく注目を集めています。国のサポートはまだまだ未熟ですが、地域の中ではサポートの手が広がりつつあります。今度ますますダブルケアに力を入れる都道府県が増えることが予想されるので、積極的に利用していきましょう。

大切なのは一人ですべて抱え込んで自分を追い込まないこと。どうしようもなくなった時は、周囲の協力を求めてみてください。

介護ぷらす

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