耳と心で人を癒していく「傾聴ボランティア」の役割

「傾聴ボランティア」をご存知ですか?「傾聴ボランティア」とは、介護施設や高齢者の自宅を訪問して、その話を聴くボランティア活動です。1990年代に広まった傾聴ボランティアですが、各地で傾聴者養成講座が開かれると定員以上の申し込みがあるなど、まだまだ盛況の様子。今回は傾聴ボランティアが社会で果たす役割についてご紹介します。

目次

  1. 【1】そもそも傾聴ってどういうもの?

  2. 【2】傾聴にはどんな効果があるの?

  3. 【3】傾聴ボランティアになるにはどうすればいい?

  4. 【4】傾聴は理解されにくい?傾聴ボランティアの課題

  5. 【5】聴くことが社会貢献につながる傾聴ボランティア

そもそも傾聴ってどういうもの?

傾聴とは、相手の表情や態度をよく観察しながら親身になって話を聴くこと、すなわち相手の気持ちを考えながら話を聴くケア手法です。傾聴を実践する際には、以下の3つのポイントが重要になります。

① 相手を主体と考え、対等な関係を築く

例えば相手の話を聞いて、「かわいそう」や「何とかしたい」と思うのはご法度です。
同情をベースに会話を始めてしまうと、無意識的に相手のことを下に見てしまい、相手よりも自分の考えを中心としてしまいます。あくまでも相手の心を優先し、相手と同じ目線で聴くようにしましょう。

② 相手をありのまま受け入れる

傾聴を実践する際は、相手の話へ割り込んだり批判をしたりしてはいけません。自分の考えやアドバイスを伝えるのも避けましょう。
相手のことを思ってした発言でも、自分を否定されたと感じ心を閉ざしてしまう人もいるかもしれません。相手の考え方や人生観を大切にして、慎重な受け答えを心がけましょう。

③ 相手の悩みや不安に対して寄り添う

つらいことや不安といったマイナスな気持ちを抱えていて、それを吐き出す人もいるでしょう。
その時は「誰でもそう思います」など相手の気持ちに共感しましょう。なお、その不安やつらさの原因が何かを突き止めるために、さらに詳しく聴いてはいけません。
具体的な解決策を提示したいと思うかもしれませんが、そこまで行くと傾聴の範囲を越えてしまいます。自分の力以上のことが必要とされる事態になったときは、迷わずプロに任せましょう。

傾聴にはどんな効果があるの?

傾聴は話者だけではなく、話を聞く側にも良い影響を及ぼします。話す人と聞く人の両面から、傾聴の効果を考えていきましょう。

① 話し手への効果

話を聴いてもらうことには、自己肯定感や安心感を高め、気持ちを楽にする効果があります。楽しかった昔の思い出や最近の嬉しい出来事を話して、それをしっかりと聴いてもらえると「自分のことをちゃんと見てくれている人がいる!」と感じ、自信にもつながりますよね。

また、日頃不安に思っていることや怒りを覚えることも、自分自身で話していくうちに頭の中で、自分が置かれている状況や問題を理解できるようになって、気持ちや考えを整理できるようになります。そこからまた新しい考えが浮かんで、これから何をしたらよいかを考えられるなんていうことも。もちろんストレス発散にも有効です。

② 聞き手への効果

相手の話の内容からさまざま価値観を知ることができるのはもちろんのことですが、傾聴の力を身につけることはコミュニケーションスキルの向上にもつながります。傾聴は人の心の動き目を向けるので、相手が今考えていることに敏感になるのです。

すると対人関係で今まで戸惑ってしまった場面でも、相手の気持ちを汲み取って落ち着いて対応することができるようになります。実際に研修の中に傾聴の講座を取り入れる一般企業も増えているので、傾聴の力がビジネスの現場においても役立つと認められているといえるでしょう。

日常生活でも傾聴は役立ちますよ。自分の話を聞いてほしいという気持ちを抱えている人は多いので、自分の話を真剣に聞いてくれる人には自然と好意や信頼を感じやすくなります。人に信頼される力を鍛えるのにも傾聴はおすすめです。

傾聴ボランティアになるにはどうすればいい?

いざ傾聴ボランティアになろうとなっても、何からすればいいのか迷ってしまいますよね。これから傾聴ボランティアのはじめ方を紹介していきます。

① ボランティアに資格は必要?

傾聴ボランティアに特別な資格は必要ありません。とはいえ、傾聴は誰にでもすぐにできるものではないので、まずは傾聴の基礎知識をつけるのがおすすめです。NPO法人や自治体の中には、傾聴ボランティア養成講座を開講しているところがたくさんあるので、ボランティアを実施しているNPO法人や所属する自治体のボランティア課に問い合わせて情報を得ることからはじめてみましょう。

② どこで活動場所できるの?

思いを聴いてもらいたい人がいるならどこでも活躍できるのが傾聴ボランティア。そのため、その活動場所はさまざまです。

たとえば、病院や福祉施設、フリースクールに訪問して話を聴く…といったケースが挙げられます。病院や福祉施設では、病気を患っている方やお年寄りの声に耳を傾け、フリースクールでは、不登校の児童や生徒たちの胸に押し込めていた想いや疑問に向き合っています。

③ どこに所属すればいいの?

傾聴ボランティアを実施しているNPO法人や地域のボランティアセンターになどに傾聴ボランティアとして登録すれば、施設からボランティア依頼があったときに活動することができます。登録には、傾聴の研修受講を必須としているところが多いのが特徴です。また、自分が活動したい施設がある場合には、直接その施設にお問い合わせするのも一つの手ですよ。

傾聴は理解されにくい?傾聴ボランティアの課題

社会的なニーズが高まっている傾聴ボランティア。ですがその一方で、活動する上での課題もあります。傾聴は相手の心に深く関わるデリケートな活動です。慎重な対応が求められますが、なかなかうまくいかないケースもあります。今の傾聴ボランティアが抱える課題について考えていきましょう。

① 傾聴ボランティアの能力格差

傾聴ボランティアのなかには、十分な知識もないままに活動してしまう人もいるため、時には人の心を癒すどころか傷つけてしまうこともあるようです。傾聴は相手の心を第一に考えるもの。「共にいることだけでも相手の存在を受け止める心のケア」というのが根本にあるのも知らず、会話するために活動してしまう人も残念ながら出てきているのが現状です。

② 施設の傾聴の認識不足

福祉施設の現場で、施設職員から見た傾聴ボランティアは、利用者の意を汲んで黙っていると、何もしないでただそこにいるだけと受け止められてしまうことが多いようです。

「ひとりだけを相手にするんじゃなくて、どうせ来たのだから色んな人と話してよ」
「○○さん黙っているみたいだから、他の人と話して」
「話すだけじゃなくて〇〇も手伝って」

これでは傾聴に集中できなくなってしまい、一人に対する心のケアができません。傾聴ボランティアの派遣を希望する施設は多いようですが、傾聴ボランティアがどういう存在かを正しく認識できていないと、傾聴の効果を発揮することができません。

聴くことが社会貢献につながる傾聴ボランティア

傾聴には何かを理解し実践できていれば、相手の寂しさをやわらげて楽しい気持ちを増幅させる効果があります。そして傾聴ボランティアはその傾聴を世に広め、傾聴で心をケアするという重要な役割を担っています。傾聴ボランティアのサークルも増えていますし、活動もまだまだ活発です。傾聴を始めてみたいとなったらぜひ積極的に活動の輪を広げてみてください。

介護ぷらす

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