高齢者の心と体を健康にする「アニマルセラピー」の魅力

アニマルセラピー
今、認知症の高齢者のケアとして注目を集めている「アニマルセラピー」。動物と触れ合うアニマルセラピーには心と体を癒してくれる効果があると言われています。今回は、そんなアニマルセラピーの目的や効果、注意点について説明していきます。

目次

  1. 【1】アニマルセラピーってどんなもの?

  2. 【2】アニマルセラピーに期待される効果

  3. 【3】アニマルセラピーはどうやって行うの?

  4. 【4】アニマルセラピーに向いている動物

  5. 【5】アニマルセラピーの注意点

  6. 【6】まとめ

動物と触れ合うことでその温かさを感じ、安心したような気持ちになったことはありますか?ペットを飼っているという人なら、なんとなくその気持ちが分かりますよね。高齢者ケアにおいても、そのような動物の癒し効果を活用した「アニマルセラピー」というものがあることはご存知ですか?

アニマルセラピーってどんなもの?

アニマルセラピーとは、動物を使ったセラピーの手法のことであり、日本の造語です。その目的として、動物と触れ合いを通してストレスの緩和、精神的な落ち着きなどの癒しの効果や高齢者の活動性の向上を促すといったものがあります。

高齢者を対象としたアニマルセラピーと呼ばれる活動には「動物介在活動(AAA)」と「動物介在療法(AAT)」の2つがあります。これから、その2つのアニマルセラピーについて詳しく見ていきましょう。

動物介在活動(AAA)

動物介在活動とは、病院や施設などで動物と触れ合うことによる情緒的な安定、レクリエーション・QOLの向上等を目的としたふれあい活動のことを指します。

一般にアニマルセラピーとよばれる活動の多くはこのタイプとなっています。

動物介在療法(AAT)

医師や看護師、作業療法士などの医療従事者が、動物を介在させて行う療法の一つです。精神的身体機能、社会的機能の向上など、治療を受ける人に合わせた目的を設定し、適切な動物とボランティアを選択します。治療後は、治療効果の評価を行います。

欧米では広く普及しており、認知症ケアや緩和ケア、リハビリテーションなど様々な分野での活用が期待されていますが、日本ではまだまだ普及していないのが実情です。

アニマルセラピーに期待される効果

アニマルセラピーには様々なよい効果があると言われていますが、大きく区分すると、生理的効果、心理的効果、社会的効果の3つに整理することができます。

生理的効果

動物と触れあうことは、人をリラックスさせる効果があります。最近では、犬と接するとオキシトシンという、ストレスを軽減する俗称“幸せホルモン”が分泌されることも広く知られるようになりました。

それに加え、身体的な効果も明らかにされてきています。2013年、イギリスで「高血圧前症から軽い高血圧症の症状がある50歳代のペットの飼い主を観察し、犬を飼っている人の方が、血圧が有意に低いことを発見した」という研究結果が報告されました。ただ単に散歩などで運動をするために血圧が下がるのではなく、犬にマッサージしてあげたり、犬を抱きしめることで、先ほど説明したオキシトシンが体内に放出され、その効果で血圧や心拍数が低下したとのことです。

また、犬と触れ合うことで軽いリハビリテーションの効果もあります。

心理的効果

愛情表現豊かな動物と接することで「必要とされている」という充足感が得られ、高齢者は情緒的に安定することができます。

また、定期的にアニマルセラピーが行われることで、「犬と遊ぶためにリハビリテーションを頑張ろう」「アニマルセラピーに参加したらまた犬と遊べる」といったリハビリに対する動機付けや集団への参加に対するモチベーションとなります。普段ほとんど自発性がみられない方でも犬への興味を持って、積極的に犬をなでる、触る、抱くなどの自発的な行動が促され、意欲や活動性の向上も期待できるのです。

社会的効果

アニマルセラピーにおいて動物の世話をすることで、人としての役割を得ることができ、高齢者たちは活気ややる気を取り戻すことができます。

また、犬へ話しかけることや、犬の話題を通して会話が増えること、犬を通して他人との新たなやりとりが生まれることなど、コミュニケーションの拡大や社会的な側面を促す効果もあります。特に認知症の方は他人と会話をすることを避け、うつ状態になってしまうことが多くありますが、犬と触れ合うことによって精神的に安定し、笑顔になることがわかってきています。

アニマルセラピー

アニマルセラピーはどうやって行うの?

動物介在活動(AAA)も動物介在療法(AAT)も高齢者介護施設、心身に障がいがある方の施設、慢性期の入院患者がいる医療機関を訪問して行います。

動物介在活動はセラピードッグを代表する動物がそれらの機関を訪問して、多人数で動物と触れ合ったりレクリエーションを行ったりしますが、医療現場で行われる動物介在療法では、医師や医療従事者を中心としたチームで、一人の対象に対して実施されます。

また、動物介在療法では、対象者の方の目標を設定して目標に沿ったプログラムを実施し、治療後に再評価を行います。用いられるのは訓練、しつけ、服従の基準を満たし、認定されたセラピードッグです。

アニマルセラピーに向いている動物

アニマルセラピーには、犬や猫、ウサギ、馬、イルカなど、人間と喜怒哀楽を共有できるような感情豊かな哺乳類が主に用いられています。

その中でも日本で今最も多く用いられている動物が『犬』。

「人懐っこいこと」「人に従順であること」「おとなしいこと」などを考慮すると、もっともアニマルセラピーに向いている動物は犬であると言えます。

はるか昔より、犬は「人類のパートナー」として共に生活をしてきました。そのことよりも、犬がアニマルセラピーに向いていることは分かると思います。

特に、盲導犬として有名なラブラドール・レトリバーや牧羊犬として有名なボーダーコリーなどの人間と共同で作業をすることが多い犬種や、犬にあまり慣れていない高齢者にも安心感を与える小型犬であるチワワやプードルといった犬種が活躍しています。

セラピードッグになるためには盲導犬のような訓練などは必要ありませんが、いくつか条件があります。

1.セラピーをする相手に精神的及び肉体的な害を与えないこと

2.服従訓練がマスターできており、攻撃性がなく従順であること

3.どのような状況でも情緒が安定しており、冷静な行動がとれること

4.人だけではなくて他の犬に対しても仲良くできること

5.健康状態が良く清潔であること

少なくとも上の5つの条件をクリアしないとセラピードッグになることはできません。

逆に、上の条件さえクリアすることができればどんな犬でもセラピードッグになることができる可能性を秘めています。

アニマルセラピーの注意点

高齢者にとっていい効果を与えるとされるアニマルセラピーですが、そこにはいくつか注意点もあります。

無理に勧めない

高齢者の中には動物が苦手だったり、動物アレルギーを持っている方もいらっしゃいます。高齢者本人の気持ちを一番に尊重し、動物と触れ合うことを嫌がっている場合は無理に勧めないようにしましょう。また、高齢者と動物の負担を軽減するために、あまり長時間のアニマルセラピーを行わないようにすることも重要です。

衛生面に注意し、感染等に気を付ける

高齢者は免疫機能が低下している場合もあるため、そのような場合は動物と触れ合うことで感染を起こし健康状態を悪化させてしまう可能性があります。

そのため、対象者、ペットともに健康状態に留意して行う必要があります。

動物側も検診や予防接種等をしっかりと行い、シャンプーやブラッシングも定期的に行うことで不衛生にならないようにします。

セラピー中は動物が高齢者の口などを舐めないように注意して見るようにして、触れ合った後は必ず手洗いをします。

万が一の事故に気を付ける

アニマルセラピーを行う動物は様々な条件をクリアしていることが前提ですが、動物がいつもと少しでも違う様子を見せたら責任者はセラピーを中止するなどの適切な対処を行う必要があります。

また、高齢者が動物に対して危害を加えることも考えられるので、そのような場合どうすべきかについて事前に施設の人と話し合っておくことも重要です。

動物の安全も考慮する

セラピーを受ける高齢者だけでなく、動物に過度なストレスがかからないように気を付けることも大切なことです。特に、生後8か月以内の子犬や、高齢犬の参加は好ましくありません。

まとめ

高齢者の心と体を癒すアニマルセラピー。身体的な効果なども様々な研究で報告されていて、ますます注目されています。動物と触れ合うことは認知症の高齢者にとって特に効果があると言われているため、もし機会があれば試してみてはいかがでしょうか。

介護ぷらす

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