口を清潔に保つことは全身の健康に繋がる!「口腔ケア」のススメ

介護の口腔ケア
大人の口の中には多くの細菌が生息していると言われています。特に、体力や抵抗力が落ちている高齢者にとっては口の中の細菌は大敵です。そこで重要なのが「口腔ケア」。今回は、そんな口腔ケアの重要性や方法などについてみていきましょう。

目次

  1. 【1】口腔ケアとは?

  2. 【2】高齢者の口内の状態

  3. 【3】口腔ケアの種類

  4. 【4】口腔ケアの目的

  5. 【5】口腔ケアのポイント

  6. 【6】口腔ケアの方法

  7. 【7】まとめ

口腔ケアとは?

「口腔ケア」とは、名前の通り、歯だけでなく、歯茎や舌などの口のケア全般のことを言います。口の中の状態や機能が正常であることは、心身の健康にも繋がると言われています。

口腔機能が低下すると「咀嚼(噛む)」「嚥下(飲み込む)」といった動作がスムーズに行うことができなくなるため、十分な栄養を摂取することができず、低栄養状態になる可能性があります。さらに、低栄養状態が続くことで運動機能の低下や認知症の進行にも繋がります。

また、口腔内を清潔に整えることは高齢者に多いと言われている「誤嚥性肺炎」などの病気を予防することにも繋がります。

高齢者の方々が健康的な暮らしを継続していくためにも、口腔ケアは非常に重要な存在であると言っても過言ではないでしょう。

高齢者の口内の状態

身体の様々な部分と同じように、高齢者の口内にも老化現象が起こっています。唾液分泌量の減少や歯の摩耗、口腔内の運動機能の低下などにより、高齢者の口腔内はトラブルが起きやすい状況となっているのです。

では、実際に高齢者の口腔内ではどのような問題が起きているのでしょうか。

自浄作用の低下

人間の口には、自身の働きで口の中の清掃性を高めるために「自浄作用」という機能があります。

「自浄作用」とは、歯や舌、粘膜についた最近や汚れを唾液の力で洗い流すことで口腔内を清潔に保つ作用のことです。

しかし、高齢になるにつれて唾液分泌量が減少するため、自浄作用がうまく働かないことに繋がります。自浄作用が低下すると、歯周病のリスクが大幅に上昇してしまいます。

口腔内が乾燥する(ドライマウス)

高齢になると、噛む力の低下や服用している薬の副作用などで唾液の分泌量が低下します。

口腔内の乾燥は口の働きや感覚を低下させることがあります。そのため、上手く話せない、咀嚼力の低下、味覚の変化などの症状が起きる可能性があります。

また、ドライマウスは虫歯や歯周病の進行、雑菌の繁殖による口臭の原因にもなります。

虫歯になりやすい環境

高齢者の方は、長年のブラッシングや咀嚼、加齢などによって歯を保護するエナメル質が薄くなっています。そのため、虫歯菌の進行が容易になり、虫歯になりやすくなるのです。

また、加齢によって歯肉は段々と痩せていきます。そのため、歯茎が下がりエナメル質に覆われていない歯の根元の部分が露出し、虫歯になりやすくなってしまうのです。

口腔ケアの種類

口腔ケアには「セルフケア」と「プロフェッショナルケア」があります。

セルフケアとは、歯ブラシやフロスなどを使って自分自身で口腔内を清潔に保つ、日々のケアのことです。その他にも、栄養バランスのとれた食事をよく噛んで食べることや、定期的に歯科検診を受けるように意識することなどもセルフケアの1つです。

一方、プロフェッショナルケアは、歯科医や歯科衛生士といった専門家によるケアのことで、虫歯・歯周病の状況を見て全身状態、口腔内の状況に合った適切な口腔ケアのアドバイスを行ってくれます。プロフェッショナルケアの目的は、歯石・細菌・汚れの除去、口腔機能の維持と回復、日々の食生活の改善などです。

口腔内の状態を良好に保つためには、「セルフケア」と「プロフェッショナルケア」の両方を取り入れていくことが効果的です。

口腔ケアの目的

誤嚥性肺炎の予防

肺炎は日本で4番目に多い死因となっていますが、高齢者の肺炎の多くは「誤嚥性肺炎」であると言われています。

誤嚥性肺炎は、嚥下機能(食べ物を飲み込む力)が低下することで食べ物が誤って気道に入ってしまったり、唾液を飲み込む際に口腔内の細菌が肺に入ってしまうことにより起こります。

また、高齢者は睡眠中など自分の気づかないうちに唾液を誤嚥してしまっていることもあります。

そのため、口腔ケアを行い、口腔内の汚れや細菌を減らすことは、誤嚥性肺炎の予防につながるのです。

誤嚥性肺炎は高齢者の命に関わる場合もあるのでしっかりと予防をすることが重要です。

口腔機能の低下を防ぐ

 

介護の口腔ケア

 

高齢者は加齢などに伴い口腔機能が低下しやすくなっています。

口腔機能が低下すると、しっかりと噛んだり飲み込んだりすることが難しくなり、必要な栄養を十分に摂取できなくなります。その結果、免疫力の低下や摂食障害に繋がるのです。

また、「食事をよく噛む」などの行動が脳への刺激となり、認知機能の低下を予防・改善するとも言われています。

口腔ケアを通して口腔機能を向上・改善すれば、体全体の健康の回復が期待できます。

唾液の分泌を促進する

口腔ケアで口内を清潔にすると、唾液の分泌が促進されます。唾液には歯や口腔内の粘膜の保護や、虫歯や歯周病の予防などの役割があるため、唾液の量を増やすことは口腔ケアにおいて重要なことです。

口腔ケアのポイント

できることは自分でやってもらう

高齢者の「できる力」を損なわないためにも、できるだけ本人に自分でやってもらうようにしましょう。「歯を磨く」という行為は、手指を動かすため高齢者にとってリハビリにもなります。

しかし、口腔内には凹凸も多く、磨き残しがある場合もあるため、そのような場合には介護者が仕上げや確認を行うなどしてサポートをしても良いでしょう。

短時間で終わらせる

子どもの時は親などに歯を磨いてもらうことはあっても、皆さん基本的に歯磨きは自分一人で行うのではないでしょうか。他人に口の中を見られることや、歯を磨いてもらうことに不快感を示す高齢者の方も少なくありません。

そのため、無理強いはせずに短時間で終わらせることが大切です。

高齢者に無理なく口腔ケアを提供するためには、口腔ケアの重要性についての説明や、リラックスして口腔ケアを行うことができる環境づくりが重要となってきます。

口腔内の健康状態をチェックする

口腔ケア時に口腔内の健康状態をチェックすることも重要です。虫歯の有無や歯茎・粘膜の色や状態、口臭の有無を確認することなどが異常の早期発見にも繋がります。

正しい姿勢で行う

高齢者の中にはベッドの上などで上体だけを起こして口腔ケアを行う方もいらっしゃるでしょう。その際、顎が上がった状態で口腔ケアを行うと水や唾液が肺に入り、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。

そのため、顎をしっかり引いてもらうなど安全な姿勢を整えてから始めるようにしましょう。

口腔ケアの方法

①うがい

左右の頬を膨らませて、しっかり動かしながらぶくぶくしてもらいます。うがいは頬や舌の筋肉を使いながら行うため口腔体操になるのと同時に食べ物の残りかすを取り除きます。

また、口の中が乾いているまま歯磨きをすると粘膜を傷つける可能性があるため、最初に行うことが重要です。

②入れ歯の清掃

まず、入れ歯を外します。外す際は、舌の入れ歯から外すようにしましょう。

次に入れ歯を磨いていきますが、入れ歯は落とすと割れやすいので、洗面器などに水を張って流水下で磨きましょう。週に1~2回程度は歯ブラシで磨いた後、入れ歯洗浄剤を使うようにします。

また、熱湯を使うと入れ歯が変形してしまうので気を付けましょう。

歯の付け根、入れ歯の縁や裏側、バネの部分は汚れやすい場所になっているので、念入りに磨くようにします。

③粘膜の清掃

粘膜は歯よりもデリケートなため、スポンジブラシや口腔ケア用のウェットティッシュを使用します。ブラシは奥から手前に動かし、口腔内の汚れや痰を優しく絡めとります。

歯肉と頬の間、唇と歯肉の間、上あごなどに汚れが残っていることが多いので気を付けましょう。

④舌の清掃

粘膜の清掃が終わったら、舌の清掃を行います。

舌に「舌苔」(舌に付着している白い苔状のもの)が付着している場合は、スポンジブラシや柔らかい歯ブラシで奥から前にやさしく擦り取ります。

⑤歯の清掃

歯を磨く時は、歯ブラシにあまり力を入れすぎず軽く握るようにしましょう。

歯ブラシは鉛筆を持つように握り、歯の裏側などの汚れの残りやすい部分を丁寧に磨くようにします。

磨く順番などは特に決められてはいませんが、磨き残しなどが無いように自分である程度磨く順番を決めておくのも効果的です。

⑥仕上げのうがい

最後に仕上げのうがいを行います。

仕上げのうがいでは、洗口液(デンタルリンスやマウスウォッシュ)を使用するのがおすすめです。最初と同じように、左右の頬を膨らませて、しっかり動かしながらぶくぶくしてもらいます。

洗口液は歯磨きの後にうがいとして使用することで、口の中の雑菌を減らして、口臭の予防や口腔内の浄化、口の乾燥の対策ができます。

まとめ

高齢者の健康を守るために重要な“口腔ケア”。今回はその目的やポイント、方法について説明していきましたがいかがでしたか?

口の中を清潔に保つことは身体全体の健康を保つことにも繋がるため、是非正しい口腔ケアを実践していきましょう。

介護ぷらす

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