その人らしく人生の最期を迎えるための“ターミナルケア”ってどんなもの?

ターミナルケア
死を目前にした方のQOLの向上を目指すために広がった「ターミナルケア」。人生の最期を迎える瞬間までその人らしく生きるために家族や周りの人間は何ができるのか、詳しくご説明します。

目次

  1. 【1】ターミナルケアとは

  2. 【2】ターミナルケアを受ける方の気持ちに寄り添う

  3. 【3】ターミナルケアの内容

  4. 【4】まとめ

ターミナルケアとは

ターミナルとは「終末期」のことを指しています。ターミナルケアは、病気で余命わずかの人をはじめ、認知症や老衰の方たちが人生の残り時間を自分らしく過ごし、満足して最期を迎えられるようにすることが目的です。同義に「看取り介護」という言葉もあります。

治療で延命をするよりも病気が引き起こす苦痛や不安をできるだけ取り除き、精神的に安定した状態や残された生活を充実させることが重要となっています。

がんなどの場合、現在の病状から大体余命がどれぐらいか予測することができますが、認知症の場合はいつからターミナルとするかの判断が難しいことがあります。一般的には、「寝たきりの状態で、介助をしても食事をとることができなくなったとき」からターミナルとされることが多くなっています。

よく、“緩和ケア”との違いについて聞かれますが、ターミナルケアは緩和ケアの一部となっています。緩和ケアとターミナルケアの一番の違いとしては、緩和ケアの場合は延命を止めずに治療と同時に利用をすることができるという点が挙げられます。

また、以前はターミナルケアを行う場所は病院が中心でしたが、在宅や介護施設で行う方も増えてきています。治療内容としては、日常生活を心穏やかに過ごせるケアや、抗がん剤などによる副作用を緩和させるケアなどがあります。

ターミナルケアを受ける方の気持ちに寄り添う

ターミナルケアを受ける方のほとんどは「余命宣告」を受けており、この段階において、死に対する不安や恐怖から精神不安定な状態に陥りやすくなります。

アメリカの精神科医であるキューブラー・ロスは、その著作である『死ぬ瞬間』の中で、終末期患者が死を宣告されてから受け入れるまでの過程を5段階で表現しました。

第一段階:否認

余命宣告によって大きな衝撃を受け、「何かの間違いだ」と死の事実を否認する段階です。

第二段階:怒り

「何故自分だけこんな目に合わなければならないのか」という怒りを周囲のあらゆるものに対して向ける段階です。

第三段階:取引

十分な怒りを経験した後、怒ってもどうにもならないことを理解し、「なんでもするので命だけは助けて欲しい」と神(絶対的なもの)に対して死なずにすむように取引を持ち掛ける段階です。

第四段階:抑うつ

取引をしても死が避けられないことが分かると、必ず死ぬということを認めた上で、様々なことに絶望を感じて「抑うつ」の状態となります。死ぬことや残された家族に対する不安などが頭を駆け巡り、大きな喪失感に苛まれます。

第五段階:受容

抑うつの段階を経たあとで、自分は死ぬしかないという事実を完全に認める受容の段階に入ります。受容段階の後半には、安らかに死を受け入れる解脱の境地が現れることもあります。

このように、ターミナルケアを受ける方は様々な心理状態となっています。そのため、ケアをする方はすべての段階において肯定的な態度を取り、ケアを受ける方を尊重しながら寄り添うことが重要です。その際、言葉による共感だけでなく、静かに寄り添ったり態度で共感的な姿勢を示すことも必要です。

ターミナルケア

ターミナルケアの内容

ターミナルケアにおいて最も重要なことはケアを受ける方のQOLを高めることです。そのために、「身体的」「精神的」「社会的」「霊的(スピリチュアル)」の4つの側面からケアを行っていく必要があります。

身体的ケア

身体的ケアでは、投薬などで主に苦痛と症状を緩和させます。また、体を常に清潔な状態に保つことや、食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上で不可欠となる日常的な動作を援助することも同時に重要となっています。

身体的苦痛を薬によって軽減する際には①飲み薬を基本とする、②時間ごとに服用し、痛みが出ないようにする、③最初は弱い薬から始め、効き方によって強い薬に移行する、④個人の特性に合わせて使い方を工夫する、⑤その上で使用には細かい配慮をするというWHOが提唱する5つの原則に従って実施するようにします。

また、寝たきりの状態の方のケアを行う場合には、感染などを引き起こす可能性のある褥瘡(床ずれ)にも注意するようにしましょう。

精神的ケア

死に対する不安や恐怖を中心として、ターミナル期にある方は大きな精神的苦痛を感じている場合が多いです。その苦痛を軽減するためには、本人がリラックスをすることのできる環境を作ることが重要です。自宅にあるものや本人が大切にしているものを身近に置いたり、好きな音楽をかけたりして、普段生活している環境とあまり変わらない落ち着いた空間を作るようにしましょう。

また、死に対する不安や孤独な気持ちを少しでも軽減してもらうために家族や友人と話す時間を十分にとることも重要となってきます。一人で「死」と向き合う孤独を感じさせないように心がけましょう。

社会的ケア

社会的ケアとは、家庭内の問題や仕事上の問題、経済上の問題を中心としたケアを受ける方やそれを取り巻く社会における様々な問題に対するケアのことを指しています。社会的ケアをする上で最も重要なことは、ケアを受ける方が「自分なんていてもいなくても変わらない」という気持ちを抱かないようにすることです。

40~60代の方の場合、仕事においても家庭においても中心的な役割を果たしていることが多く、大きな社会的負担がのしかかる可能性があります。

経済的な不安を抱えている場合は、入院から在宅ケアに切り替えるのも苦痛軽減のための1つの方法です。また、ターミナル期となり、支えられる存在となったことで自分の中で役割を喪失してしまうこともあります。そのような場合、介入は中々難しいですが、まずはケアを受ける方の話をしっかりと傾聴するようにしましょう。

スピリチュアルケア

臨床でのスピリチュアルケアは、死が間近に迫った人に寄り添うケアのことを指します。ターミナル期における人たちは、身体や心の苦しみだけではなく、「何故自分だけが死ななければならないのか」「自分は死んだらどこにいってしまうんだろうか」という“魂の痛み”を自覚するようになります。そのような痛みをスピリチュアルペインと呼び、一般にはこの痛みに対するケアがスピリチュアルケアと呼ばれています。

身体の痛みであったり、不安や悲しみなどの心の痛みなどは比較的簡単に自覚することができ、場合によっては薬を処方することで解決する場合があります。しかし、「スピリチュアルペイン」という魂の痛みに対する特効薬などは存在していません。

スピリチュアルケアにおいて最も重要なことは、“傾聴と共感”“ともにいること”です。特に、傾聴はスピリチュアルケアの方法として欠かすことができません。人は、誰かに心から話を聞いてもらうことで気持ちが落ち着き、考えがまとまり、生きる力が湧いてきます。つまり、しっかりと寄り添いながら話を聞くことはそれだけで援助になるのです。特に、積極的な治療を行わないターミナル期の方にとって、共感を示しながら話を傾聴することは最後にできる最大の援助なのではないでしょうか。

まとめ

人生の最期に向かう時、その人が出来るだけその人らしく最期を迎えることができるようにお手伝いをするのがターミナルケアです。様々な苦しみと闘っているターミナル期の方々にとって、ターミナルケアを行う方の存在はとても心強いものとなります。

ターミナルケアは医療職や介護職だけでなく、ご家族の方も行うことができるので、人生の最期を幸せに迎えるために何ができるか、考えてみましょう。

介護ぷらす

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