生命の指標となる“バイタルサイン”について知ろう

バイタルサイン
介護や医療の現場で度々耳にすることのある「バイタルサイン」。これは、人々の健康状態を客観的に数値化し、観察するためのものです。バイタルサインは、異常の早期発見や病気の予防にとって非常に重要なのです。

目次

  1. 【1】そもそもバイタルサインって?

  2. 【2】バイタルサインを測定する意味

  3. 【3】バイタルサインにはどんな項目がある?基準値は?

  4. 【4】バイタルサインの測定における注意点

  5. 【5】まとめ

そもそもバイタルサインって?

バイタルサイン(vital signs)とは、生命兆候という意味の医学・医療用語のことを言い、具体的には、脈拍・呼吸(数)・血圧・体温の4つを指すことが多いです。その名の通り、患者さんの命に関する最も基本的な情報となっていて、これらの数値情報から被介護者の方の現在の状況を把握・表現します。介護や医療関係者の方々の中では、「バイタル」と略して呼ばれることもあります。

また、救急の現場などではさらにその4つに「意識状態」を加えた5項目をチェックすることも。

基本の4つは、体温計・血圧計・腕時計の3があれば測定できます。脈拍は基本的には手指で測定できますが、あまりに脈が弱い場合は聴診器が必要となるので気を付けましょう。

バイタルサインを測定する意味

介護などを行っていく上で最も重要なことは、やはり「生命の維持」なのではないでしょうか。多くの病気においては、この生命維持の基本をなす循環・呼吸機能などに影響を及ぼすため、常にバイタルサインを観察することによって生命の危機および異常を早期に発見し、対処することができます。

また、バイタルサインは常に一定なわけではなく、変動していくものなので、日常生活動作に合わせて測定をするようにしましょう。

朝・昼・夜など1日のうちの決められた時間にバイタルサインを測定するのはもちろんのこと、それ以外でも「いつもと様子が違う」「なんだかおかしい」と少しでも気になることがあればバイタルサインを測定できるようにしておくと良いですね。

バイタルサインにはどんな項目がある?基準値は?

最初の項で説明したように、バイタルサインの項目には主に脈拍・呼吸・血圧・体温の4つがあります。また、安静時は健側(点滴や怪我などをしていない方、また、麻痺などのない方)で行うことが多いです。

ではこれから、それぞれのバイタルサインの測定方法や基準値について詳しく説明していきます。

脈拍

心臓がドクドクと収縮することを「拍動」といい、この心臓の拍動によって血液が全身に送り出されています。そして脈拍とは、この心臓の拍動によって送り出された血液によって生じた圧力が動脈に伝わって動脈が拍動したことをいい、この回数のことを「脈拍数」と呼びます。脈拍は、動脈が体の表面近くを通る部位で触れ、回数(脈拍数)を計ることができるため、身体の異常を知る情報・サインの一つとして使われます。

①基準値

脈拍の基準値は60~100回/です。一方、おおよそ100回/分以上と極端に多い場合は頻脈、50回/分以下と、極端に少ない場合は徐脈と呼ばれており、注意が必要です。

②測定位置

現在は、自動血圧測定器の中には同時に脈拍も測定してくれるものもありますが、機器を使用せずに脈拍を測定することも多いです。その場合、手の平を上にしたときに親指の付け根側の手首に触れることで脈拍の測定が可能です。その場所には最も脈が触れやすい橈骨動脈があります。ただし、血圧が低い場合には橈骨動脈では脈拍を測定することはできません。

③測定方法

計測するときは、まず人差し指・中指・薬指を橈骨動脈に軽く当てます。15秒間または30秒間脈をカウントし、「15秒間測定値×4」または「30秒間測定値×2」で60秒の脈拍数を算出します。ただし、不整脈などがみられる場合、60秒間継続して測定する必要があります。また、同時に左右差の有無を確認します。

呼吸

呼吸とは、酸素を取り込み二酸化炭素を排出するための働きです。呼吸をチェックする時は、呼吸数と呼吸の状態の2つに注目することが重要です。

①基準値

呼吸数の基準値は16~20回/です。呼吸数と同時に、呼吸の深さやリズムをチェックしますが、正常な状態であれば吸い込む時間よりも吐き出す時間が長く、そのリズムと深さは一定です。

②測定の方法

呼吸数を計測する際は、計測することを対象の方に伝えてしまうと意識をしてしまい、自然な呼吸数が測れなくなってしまいます。そのため、脈拍を測っているときに一緒に計測するなどの工夫が必要です。

また、呼吸音を聴診する際は普段よりもやや大きく呼吸をしてもらいましょう。肺を全体的に、左右交互に聴診し、1か所につき最低でも1呼吸は聴診するようにします。聴診の際、呼吸音の大きさや左右差の有無、呼吸音に異変がないかなどを確認します。

血圧

心臓が収縮と拡張を繰り返すことで、血液は血管を通って全身へと運ばれていきます。血液が血管を通るときに、血管の壁にかかる圧力のことを「血圧」といいます。血管壁に強く圧がかかるのは心臓が収縮したときで、このときの血圧のことを「収縮期血圧」といいます。また、心臓が拡張したときには血管の壁にかかる圧は低くなります。このときの血圧のことを「拡張期血圧」といいます。収縮期血圧が最も高く、拡張期血圧が最も低くなるので、収縮期血圧は「上の血圧」、拡張期血圧は「下の血圧」とも呼ばれています。

高齢者の方は血管が硬くなりやすいため、最高血圧がやや高くなる傾向にあります。

①正常値

血圧の正常値は3段階に分けられています。日本高血圧学会が2014年に改訂した最新の「高血圧治療ガイドライン」では、140/90mmHg未満」を、血圧の正常値としています。正常値はさらに細かく「正常高値血圧」「正常血圧」「至適血圧」の3つに分けられています。正常高値血圧は上が130~139または下が85~89、正常血圧は上が120~129または下が80~84、至適血圧は120未満かつ80未満となっています。

②測定方法

動いた直後は血圧が高くなってしまうので5分程度安静にしてから、座った状態か横になった状態で測定します。また、体勢によって血圧は変動するので、いつも同じ体勢・部位で測定することが大切です。一般的には上腕部で測定します。

血圧計は空気を入れて腕を絞めるため、麻痺がある場合や点滴をしている腕などでは行わないようにしましょう。

体温

体温は体の内部の温度を測りますが、直接測定することは困難なため、一般的には体内の温度を反映する腋の下で測定します。体温は、感染の有無や病気の診断において非常に重要な判断材料になりますので、対象の方の平熱がどのくらいかを知っておくことも重要です。

①基準値

体温の基準値は36.0~37.0です。体温には1日の中での温度差や個人差がありますが、朝が最も低くなり、夕方にかけて上昇していきます。

また、年齢による変化もあり、高齢者の方は一般的に皮下脂肪が薄く皮膚の熱が伝導しにくいために、低い値になりやすいとされています。

②測定方法

体温測定は、表面体温、口腔温(口の中の体温)・腋窩温(わきの下の温度)、深部体温の3種類があります。体温測定時は、腋の下に体温計の先端を当てるように差し込み、できるだけ密着させて測ります。測定の際、腋の下が汗などで濡れている場合は測定前に拭いておきましょう。

バイタルサイン

バイタルサインの測定における注意点

バイタルサインは、人間の基本的な生理活動が機能しているかどうかを示すものです。したがって、その観察をする際は細心の注意を払いながら、一つひとつの徴候を確実に把握する必要があります。

また、バイタルサインはお互いに密接に関連し合っているので、一つひとつのサインから得られた所見が、お互いにどのように関連しているかを考慮しながら、総合的に判断することが大切になってきます。

バイタルサインを測定する際には、対象の方に対してその必要性を十分に説明し、プライバシーを保護した上で安全・安楽を心がけながら実施するようにしましょう。

まとめ

今回はバイタルサインについてご説明していきましたが、いかがでしたでしょうか。バイタルサインは、対象の方の異常を発見するためのきっかけとなる非常に重要なものです。

もし基準値から外れて異常な値が出ている場合は、まずその原因が何なのかを考え、介護者や医療者で連携を取りながら迅速に対応するようにしましょう。

介護ぷらす

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