高齢者は特に要注意。心臓や脳の病気を引き起こす冬の「温度差」

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寒さが厳しくなる冬は、健康管理にいっそう気を使う季節。インフルエンザなど、冬に流行しやすい病気はもちろん、高齢者は特に「温度差」にも気をつけなければなりません。心臓や脳の病気を引き起こすきっかけにもなりかねない「冬場の温度差」について知っておきましょう。

目次

  1. 【1】冬の浴室にひそむ魔物「ヒートショック」

    1. 1.屋外の散歩や運動時にも注意が必要

    2. 2.ヒートショックに陥りやすい方の特徴

    3. 3.ヒートショックを防ぐには

  2. 【2】冬場はリスクアップ。知っておきたい「心筋梗塞」と「脳梗塞」のこと

    1. 1.血管が詰まる「梗塞」という症状

    2. 2.心筋梗塞の症状は?

    3. 3.脳梗塞の症状は?

  3. 【3】冬も注意が必要な「脱水症状」

    1. 1.気になる症状は医療機関に相談を

寒さが厳しくなる冬。身体の機能が低下している高齢者の方は特に、体調を崩しやすい季節です。冬場に気をつけなければならないのは、感染症だけではありません。

真冬だからこそ起こりやすい屋内と屋外の「温度差」が、思わぬ事故を引き起こしてしまうケースが多々あります。

命に関わる事故につながるケースも少なくない、真冬の温度差がきっかけで引き起こされる「心臓や脳に関する病気」について解説します。

冬の浴室にひそむ魔物「ヒートショック」

浴槽 ヒートショック

「ヒートショック」という現象をご存じでしょうか。近年、マスコミで多く取り上げられており、名前を耳にしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。

ヒートショックとは、急激な温度変化によって体に過度な負担がかかってしまうことで、さまざまな症状を引き起こす現象のことです。

暖房で温められている部屋から寒い脱衣所に移動、服を脱いで冷たい外気に直に触れた後に熱いお風呂に入る…という一連の動作のあいだに、身体はとてつもなく大きな温度変化の影響を受けています。

ヒートショックによる温度変化は、脳梗塞や心筋梗塞といった命にかかわる大きな病気を引き起こす引き金になるほか、浴槽内で意識を失ってそのまま溺れてしまい、命を失うという二次的な危険も潜んでいるため、健康に自信がある方でも侮ってはいけません。

屋外の散歩や運動時にも注意が必要

健康のために、毎朝のウォーキングなどの軽い運動を日課にしている方は多いものです。ですが、冬の朝は想像以上に冷え込みが厳しいもの。暖かい室内から寒い屋外に出ることで急激に血管が収縮し、血管が詰まってしまうケースも報告されています。健康のためのウォーキングが、かえって命取りになってしまうこともあるため、寒暖差が激しくなりすぎないよう注意が必要です。

ヒートショックに陥りやすい方の特徴

なんの前触れもなく急に襲ってくるヒートショック。ヒートショックを起こすリスクは誰にでもありますが、ヒートショックを起こしやすい状態にある方もいます。

それは、高血圧で動脈硬化が進行している方です。

高齢者の場合、加齢のため血管の弾力が失われることによって血液の流れが悪くなり、特に心臓が収縮して血液を送り出すときの収縮期血圧が高くなる傾向があります。さらに高齢者は、血圧が高くても脳にまで十分に血液が行き渡っていないケースが多く、立ちくらみや急な温度変化による影響で、脳卒中や心筋梗塞を起こしやすいという特徴があるのです。

高齢で血圧が高い方は、特に注意が必要となります。

ヒートショックを防ぐには

では、ヒートショックを防ぐにはどのような対策を行えば良いのでしょうか。

入浴時の「温度差」をできるだけ少なくしておこう

ヒートショックは温度差が原因で引き起こされるため、冬場は脱衣所やお風呂場を暖めておくことで温度差を少なくしておくことが大切となります。

浴室専用の暖房器具を利用するのもいいですし、浴槽のお湯を高い場所に設置したシャワーを使ってはることでも、無駄なく浴室全体を暖めることができます。

熱いお風呂が好きな人もこの時期に限っては、体のためにも我慢したいところ。急激な温度の変化を防ぐため、お風呂のお湯の温度は41度以下にするのがベターだといわれています。

入浴直前の食事やアルコールはNG

また、入浴直前の食事やアルコールの摂取は控えたいところです。特にアルコールは脱水症状を引き起こし、血管が詰まりやすくなるリスクがアップするので避けましょう。脱水をさけるためにも、入浴前には水や白湯を飲んでおくのが大切です。

一人での入浴を避けよう

ヒートショックの最も怖いところは、誰にも気づかれることなく気を失ってしまうという点です。気を失った時点では助かる見込みがあっても、そのまま気づかれず溺れてしまうことで亡くなってしまうケースは少なくありません。

それを防ぐには、入浴前に家族に一言かけておくことや、銭湯や日帰り温泉を利用して一人での入浴を避けることが対策になります。特に一人暮らしの高齢者は自宅での入浴を控え、このような施設を利用するようにしたいところです。

冬場のウォーキングは“重ね着”で防寒対策を

室内と屋外の寒暖差が激しい冬場に運動をする際は防寒しておくことが大切です。

風を通しにくいジャケットを着たり、首、手首、足首が外気に触れないように手袋やマフラー、靴下を着用したり…と、急激に体温が下がらないよう着衣で工夫をします。

また、冷たく乾いた空気を直接吸い込んでしまうと肺の気管支が収縮するといわれているため、マスクも着用しておきたいところです。

とはいえ、体を動かしているうちに体温というのは上がってくるもの。厚手の服を1枚着るより、薄手の服を重ね着して、体温の上昇に合わせて脱げるようにしておくのが冬場の運動の基本です。

体に負担のかからない範囲での適度な薄着は、新陳代謝を高めてくれるので運動の効果をより感じることができるのではないでしょうか。

それから、ウォーミングアップをしっかりと行うことも重要です。暖かい室内で十分に体を慣らしてから外に出る習慣をつけましょう。

冬場はリスクアップ。知っておきたい「心筋梗塞」と「脳梗塞」のこと

冬場特に、リスクが増す心臓および脳の病気に、心筋梗塞と脳梗塞があげられます。病名は聞き馴染みがあるかもしれませんが、いったいどのような病気でしょうか。

血管が詰まる「梗塞」という症状

心筋梗塞にも脳梗塞にも共通して使われている「梗塞」という言葉。梗塞とは、物が詰まり、流れが滞ってしまうことを指す言葉です。体の場合、何らかの理由で血管が詰まり、血液の流れが滞ってしまう症状を指します。心筋梗塞では心臓にある血管が、脳梗塞では脳にある血管が詰まることで、それから先の部分が死んでしまいます。いずれも命にかかわるケースが多く、助かったとしてもこれらをきっかけに介護が必要になるケースもある、重大な病気です。

特に冬は血圧が上がりやすく、血管が詰まってしまうリスクが増すといわれています。

心筋梗塞の症状は?

心筋梗塞が起こると冷や汗や呼吸困難、胸から左肩にかけて(心臓は体の左側にあるため)、激烈な痛みを感じるといわれています。ただし、高齢者や糖尿病を患っている人にはこのような症状がみられないこともあるそうなので注意が必要です。

動脈硬化により、血管が狭まっている段階で階段を上がる、走るなどという心臓に負担のかかる運動したときに胸を締め付けられる痛みが襲ってくることがあります。これが「狭心症」と呼ばれるもので、通常15分程度で痛みは落ち着くといわれていますが心筋梗塞の前兆とも呼ばれる症状ですのでこのような症状を感じた場合は要注意です。

脳梗塞の症状は?

脳梗塞では、ろれつが回らなくなったり、言葉がでなくなったり、顔や体にしびれがあらわれたり…といった特有の症状があらわれるケースが多いようです。

思ったように文字が書けない、人の言うこと理解できないなど、普段とは違う状態に陥ったら要注意。脳梗塞の前触れである「一過性脳虚血発作」の可能性があります。

これらは一過性であるため、すぐに症状が消えていくケースが多いのですが、一過性脳虚血発作は脳梗塞の前触れとも言われているもので、3ヵ月以内に脳梗塞を発症する確率が非常に高いため注意が必要です。

特に、体の片方の手足に力が入らなかったりしびれが起こるケースでは、脳梗塞につながる可能性が非常に高いため、このような症状があらわれた場合は一刻も早く医療機関を受診する必要があります。

冬も注意が必要な「脱水症状」

夏に気をつけるべきものというイメージが強い「脱水症状」ですが、冬も夏場と変わらず注意が必要です。

日本の冬は乾燥しているため、皮膚や粘膜、また吐く息から水分がどんどん奪われていきます。それにも関わらず、気温が低いため、夏場に比べて脱水症状への警戒感が低下していることが大きな要因です。

口の中がネバネバしたり、だるさを感じるといった症状は脱水症状のサイン。また、脱水症状はそのまま放っておくと血液がドロドロになり血栓ができやすくなるため心筋梗塞や脳梗塞の原因ともなります。

特に高齢者はのどの渇きを感じにくいほか、筋肉量が低下しているため脱水症状になりやすいといわれています。筋肉は体の多くの水分を保持する機能があるので、運動とタンパク質の摂取で筋肉量をキープするようにしましょう。

もちろん、こまめな水分補給、そして加湿といった対策も有効ですので忘れずに行ってください。

気になる症状は医療機関に相談を

冬は身体への危険が多くひそむ季節です。特に、高血圧や糖尿病などの持病のある人は特にそのリスクが増します。

日ごろから、正しい食生活と規則正しい生活習慣で健康管理に努めることがやはり一番の対策法。ただ、ちょっとでも疑問に感じる症状がみられたら、ためらわずにかかりつけの医師に相談しましょう。

何事も早期発見が命を救う一番の近道です。

介護ぷらす

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