生活不活発病!?寝たきりで起こる「廃用症候群」とは

廃用症候群
寝たきりが原因で起こる「廃用症候群」。廃用症候群になることで、心身への様々な悪影響が起こります。今回は、その原因や症状、対策について説明します。

目次

  1. 【1】廃用症候群とは

  2. 【2】廃用症候群の原因

  3. 【3】廃用症候群の症状

  4. 【4】もしなってしまったら…

  5. 【5】廃用症候群を予防するには

  6. 【6】まとめ

廃用症候群とは、寝たきり状態が長くなることで気づかぬうちに筋肉が衰えたり、関節の動きが悪くなったりすることで、身体や精神に大きな悪影響をもたらす症状のことです。

高齢者の場合、病気や怪我などで入院すると、「廃用症候群」を発症しやすくなります。

では、これから廃用症候群の原因や症状、対策について見ていきましょう。

廃用症候群とは

廃用症候群とは、安静状態が長期に渡って続く事によって起こる、さまざまな心身の機能低下等を指します。

生活不活発病とも呼ばれ、特に病床で寝たきり状態でいることによって起こる症状が多くなっています。

廃用症候群の原因

廃用症候群は、高齢者が気づかないうちに症状が進行してしまうことがほとんどです。

気づいた時には歩くことができなくなっていたり、ベッドから起き上がることができなくなっているという状況は少なくありません。

また、廃用症候群の一番多い原因としては入院が挙げられます。

入院により身体を動かさない状況が続くと、運動機能や心肺機能が低下してしまいます。

運動機能が低下すると動く意欲が低下し、運動量が減り、さらに筋力低下などの身体機能の低下が起こる…というような悪循環が起こります。

廃用症候群の症状

廃用症候群の症状は精神的なものから身体的なものまで多岐にわたります。

筋力の低下

ベッドの上で動かないことで筋肉量は段々と減少していきます。

例えば骨折した時に、“ギブスをつけていた方の足や腕だけ細くなってしまった”という話はよく聞きますよね。

それは、寝ている状態では重力に逆らい、筋肉が身体を支える必要が無いからなのです。

また、上半身よりも下半身の方が、筋力低下が認められるという報告もあります。

関節の拘縮

“関節の拘縮”とは、関節を動かすことができない状況が続くことで関節が固まり、動きが悪くなってしまうことを指します。

さらに、関節が固まってしまうことで足や手を動かそうとしても痛みが走り、動かすことが億劫になるという悪循環に陥ります。

骨粗しょう症

長い間寝たきりでいたり、あまり動いたりしないことで、多くの骨量が失われます。

また、長い間日光にあたらないことでビタミンDが合成されず、カルシウムの吸収が抑制され、骨がもろくなってしまうという原因もあります。

さらに、動かないことで骨への刺激が低下して骨がもろくなり、骨折しやすくなります。

骨折しやすくなることで、さらに廃用症候群のリスクを高めます。

褥瘡

褥瘡という言葉にはあまり耳なじみがないのではないでしょうか。褥瘡とは、一般的に「床ずれ」として知られているものです。

ベッド上で、自分の力で体勢を変えることができない高齢者の方は、長時間同じ部分を圧迫し続けるため血流が悪くなり皮膚症状が悪化・壊死し褥瘡が発生します。

褥瘡の起きやすい場所は骨が出っ張っていて、寝ている時に当たりやすい場所です。

例えば仙骨と呼ばれるお尻のあたりや踵などによく見られますが、その他にも肩や肘など骨のでっぱりがある部分はどこでも褥瘡ができるリスクを秘めているのです。

静脈血栓

足の筋肉には心臓に血液を送り届けるポンプの役割があります。つまり、足の筋肉が動かないと静脈血は心臓へと流れてくれません。通常、血管の中で血液はさらさらと流れ続けていますが寝たきり状態で動かないことで静脈の血流が滞り、血栓ができてしまいます。

時には、足にできた血栓が肺へ流れて、肺の血管がつまって肺塞栓症を起こし、呼吸困難や胸痛を引き起こし、重篤な場合には死に至る場合もあるので注意が必要です。

心肺機能の低下

寝たきりの場合、生命活動を維持するための血液や酸素の量が少ないため、心肺機能が低下します。そのため、心拍出量が低下しますが、そうなると最大換気量も減少します。

寝たきりになることで、続けて様々な心肺機能に関する異常が生じてくるのです。

消化機能の低下

寝たきりで活動をしないことで食欲が低下します。皆さんにも動かなかった日はお腹があまり空かなかったという経験はありませんか?

食欲が低下すると、食事から必要なエネルギー量を摂取することができず、低栄養状態になる可能性があります。低栄養になると免疫力が低下し感染症にかかりやすくなったり、筋肉量の減少にも繋がります。

また、食べない状態が続くと、同時に咀嚼力(噛む力)と嚥下機能(飲み込み)も低下します。そのため、食べ物の一部あるいは全部が気道に流入し、誤嚥性肺炎を引き起こします。

誤嚥性肺炎は、飲食物・分泌物・胃内容物の誤嚥により起こる肺炎のことを指しますが、日本において肺炎は死亡原因の第4位として挙げられています。

高齢になるほどその比率は上昇しており、その背景には誤嚥性肺炎が多いことが考えられます。

起立性低血圧

廃用症候群

 

寝たきり状態でいると頭と下半身が水平になっているので、心臓のポンプ機能もあまり大きな働きをしていません。そのため、ポンプ機能はどんどん低下していきます。これは先ほど説明した心肺機能の低下にも大きく関係しています。

その状態で急に座る・立ち上がるなどの姿勢をとり、頭が高い位置になると、血液が一気に下半身へと下がっていき、頭への血流が少ない状態となります。

通常の場合、心臓のポンプ機能が働き血液の循環を回復させますが、そのポンプ機能が低下しているために一時的に血圧が低下します。その状態を「起立性低血圧」といいます。

精神機能の低下

私たちは普段、立ったり座ったり、その他にも様々な活動をすることで脳をフル回転させています。この時、常に脳は血流が盛んで活発に働いています。

しかし、長期の寝たきり状態は、脳への極端に刺激が少なくなるために精神機能の低下をきたします。精神機能が低下することで、精神的に落ち込むうつ状態や幻覚・錯覚・不安・精神運動興奮を伴うせん妄、さらに今はいつで、ここはどこなのか分からない見当識障害などを引き起こします。

さらに、認知症がある方は認知症が進行してしまう可能性があります。

もしなってしまったら…

高齢者が一度廃用症候群になってしまうと、元の状態まで戻すことは難しくなります。

しかし、まったくなす術がないわけではありません。

心肺機能の低下や誤嚥性肺炎などに関しては通常の病気と同じように投薬治療を行います。

また、早いうちからリハビリを始めることも重要です。

リハビリは「歩く」「座る」といった日常的な動きを取り入れながら行っていきます。

そして、着替えや排泄など、自分でできることは出来るだけ自分で行ってもらうようにします。それらは毎日継続的に行う必要があります。

廃用症候群の際は痛みや気持ちの落ち込みでなかなかリハビリに対する意欲が湧かないことが多いかもしれません。そのような本人の悩みを聞いたりすることでリハビリに対する意欲をもってもらうことも大事です。

廃用症候群を予防するには

廃用症候群にならないためには、まず寝たきりにならないことが一番重要です。

長期の入院などによって一時的な寝たきり状態になった場合も、なるべく早く身体を動かすように促します。

高齢者の中には、身体を動かさない期間が長いとできないと諦めてしまったり、動くこと自体を嫌がる人もいます。そのような場合は本人の健康状態にも配慮しながら、高齢者の不安や悩みを傾聴し、動くことに対する意欲を引き出すようにしましょう。

また、身体が動くうちに筋力の維持・向上を図っておくことも廃用症候群の予防に繋がります。

まとめ

今回は、“廃用症候群”についての説明を行いました。

廃用症候群は、寝たきりになってしまうことで誰もがなる可能性を秘めているものです。

しかし、予防する方法もあるものなので、日頃から身体を動かしておくことで、寝たきりの状態を作らないようにしましょう。

参考ページ

廃用症候群の症状や予防法など。長期安静や入院は要注意です。

https://cmedicalcenter.net/survey/%E5%BB%83%E7%94%A%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/haiyo-shokogun.html

介護ぷらす

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