介護施設の“囲い込みモデル”、何で問題なの?

介護の囲い込み
入居者に対し、過剰な介護サービスが提供されている可能性が指摘され、厚生労働省や老健局が注目している介護施設の「囲い込み」。「囲い込み」が起きる理由や、「囲い込み」による問題を解消するためにどのような対策が検討されているのか、詳しく迫ります。

目次

  1. 【1】入居者に対しての囲い込みモデルとは

  2. 【2】囲い込み込みモデルの問題点とは

  3. 【3】どうしてその問題が起こっているの?

  4. 【4】ニーズに応じて良質なサービスを提供している業者も

入居者に対しての囲い込みモデルとは

「自分の身の回りのことはできるけれど、1人暮らしはちょっと不安…。」という高齢者に人気のサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホーム。

今、これらの住居の入居者を巡って、事業者による“囲い込み”が行われていると問題になっています。

この“囲い込み”とは、いったいどのようなものかを簡単にご紹介しましょう。

サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームには、介護事業所が併設されているところがほとんど。

しかし、入居者は必ずしもこれらのサービスを利用しないといけないと決まっているわけではなく、これらの施設に入居する前から利用している介護サービスを続けて利用したり、地域で評判の良い介護事業所のサービスを選ぶことができるなど、自分が受ける介護サービスを自由に選ぶことができるとされています。

本来、自分で受けたい介護サービスを自分で選んで利用できるはずの入居者ですが、実際には、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームに併設されている介護サービスや、住宅を運営している事業所が提供している介護事業サービスを利用することが入居の際の条件として、契約を結ばされているんです。

囲い込み込みモデルの問題点とは

サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームの入居者が、併設されている介護サービス事業や提携先の介護事業サービスを利用するように制限する囲い込み。

この囲い込みモデルは、一見問題が無いように見えますが、“過剰なサービスが提供されているのではないか”ということが問題として取り上げられています。

囲い込みを行っている事業所では、入居希望者が集まるようにするために、入居費用を他のサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームより低く設定しています。

その一方で、入居者が自社の介護サービスや提携先の介護サービスを利用するような契約を結んで、入居者に対して必要以上の介護サービスを提供することで、「住居」と「介護」のトータルで事業所として利益が確保できるような仕組みを作り上げています。

一例として、毎月「住居」と「介護」に10万円の支払いをしているケースについて、考えてみましょう。

まず、「住居」に9万円、「介護」に1万円の支出をしている場合。「介護」は、本人負担が1割、そして、介護保険財政が9割を負担する仕組みになっているため、本人負担が1万円の「介護」に対して、介護保険財政から、別途9万円の報酬が支払われます。

つまり、事業所には月19万円の収入があることになります。

一方、「住居」に8万円、「介護」に2万円の支出をしている場合。事業所としては、介護保険財政から別途18万円の報酬が支払われています。

つまり、月28万円の収入があることになるんです。入居者にとっては同じ10万円でも、事業者には9万円という差が生じることが分ります。

入居費用を安くすれば入居希望者が集まりやすくなるうえ、入居者にとっては手厚い介護サービスを受けることができる囲い込みモデル。この仕組みで事業を運営することによって、事業所自体の収入が増大する、そんな仕組みが出来上がっているんです。

大阪府が行った調査によると、サービス付き高齢者向け住宅に入居している場合、介護保険で支給される限度額の7割から9割を利用している方がほとんど。

厚生労働省の調査では、一般の住居で生活している高齢者は、介護保険で支給される限度額の4割から6割のサービスを利用しているという実態となっていることから、サービス付き高齢者向け住宅の入居者に対して、必要以上の介護サービスが提供されているという実態をうかがいしることができます。

どうしてその問題が起こっているの?

介護の囲い込み

サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームの入居者に対して、過剰な介護サービスが提供されている“囲い込み”。

その原因には、「住居」費用を安く抑えて入居希望者を集め、集めた入居者に対して「介護」を限度額ギリギリまで受けさせている実態があるということについて説明してきましたが、その実態を把握するのが難しい理由として、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームの事業者と、介護サービスを提供している事業者が異なることが多いということがあげられています。

サービス付き高齢者向け住宅は、民間の事業者が運営する事業。

一方、介護事業は、福祉事業と自由競争の2つの側面をもつ事業となっています。

事業者が違っていることによって、介護保険の種類を正確に把握しきれない、提供されている介護サービスを正確に把握できない、ということが起こってしまいがちですが、介護保険財政は、もとをただせば、国民から集めた税金で運営されているもの。

介護サービスの充実を図ることは大切ですが、その一方で、税金の無駄遣いを省くために、規制が必要であると言えます。

囲い込みに対する対策として、厚生労働省と国土交通省がサービス付き高齢者向け住宅の登録に際し、“入居者が必要とする在宅介護サービスについて、提供できる事業所が近隣にあること”、“地域のサービス情報を網羅的に広く紹介し、事業所を限定しない”という2点を基準として明確に位置付けました。

入居者が自分の意思で介護サービスを選ぶことができる“入居者自身の選択の自由”を確保し、かつ、介護サービス事業が質の向上を図っていくことが重要となっています。

ニーズに応じて良質なサービスを提供している業者も

入居型の介護施設で、“囲い込み”によって過剰なサービスが提供されているということが問題として挙げられる中、介護報酬のマイナス改定がささやかれていますが、“囲い込み”でも良質なサービスを提供している業者も存在します。

サービス付き高齢者向け住宅に入居している方の入居のきっかけは、“介護が必要となったから”。

“安否確認”と“生活相談”を受けることができ、介護が必要となったら外部の介護サービス事業所を利用できると人気のサービス付き高齢者向け住宅。

サービス開始当時に立ち戻り、“利用者本位”でのサービスの提供ができるように、国がある程度介入し、適切に規制していく体制を作り上げていくことが必要とされています。

介護ぷらす

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