2018年8月、介護保険法の改正で介護離職が急増!?いったいなぜ?

2025年介護保険制度改正による介護離職
2017年5月に改正された介護保険法が、今年の8月から施行されることに伴って、介護離職が急増することが懸念されています。いったいなぜ介護離職が増えるのか、また、介護保険法はどのような点が改正されたのか、詳しく迫ります。

目次

  1. 【1】介護保険法の改正により、自己負担の割合が増える!?

    1. 1.自己負担の割合が増える以外にも隠れた問題点がある!?

    2. 2.要介護認定が厳しくなることにより、介護離職が増える?

  2. 【2】介護認定の改定時に要介護度が低くなる!?

    1. 1.介護度が低くなる事での影響は?

    2. 2.介護スタッフへの影響も

  3. 【3】介護度の予測が難しい!その結果…。

    1. 1.介護保険法の改正。本来の趣旨に基づく運用を期待

介護保険法の改正により、自己負担の割合が増える!?

 2018年8月から、改正された介護保険法が施行されますが、この改正に関して、「利用者の負担が増える。」ということを耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか?

原則として、1割の自己負担で利用することができる介護保険サービスですが、2014年の改定で、一定の所得がある方は自己負担の割合が2割に変更されました。

そして、今回の改定により、介護保険サービスを利用する際の自己負担の割合が3割へと引き上げられる世帯も。

今回、自己負担割合が引き上げられる対象となるのは、単身者で年収が340万円以上、夫婦世帯で年金のみの収入が463万円以上の世帯。

厚生労働省の推計では、利用者全体の3%に当たる世帯が対象となっているとされています。

自己負担の割合が増える以外にも隠れた問題点がある!?

「利用者の負担割合が引き上げられる」ということに関しては、マスコミで大々的に取り上げられていましたが、今回の改正には、これ以外の問題点が隠れているとされています。

その問題点とは、“要介護度が改善された自治体に対してインセンティブが与えられる”ということに起因するもの。

通常、介護保険サービスを利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。

要介護度は、要支援1から要介護5までの7段階となっていますが、この要介護認定に基づいて、介護保険サービスの範囲で利用できる介護サービスの内容や支給限度額が異なる仕組みとなっています。

今回の改正以前でも、財政状態が厳しい自治体では、福祉予算を抑えるために、厳しい判定が行われていることがありましたが、今回の改正で“要介護度が改善された自治体に対してインセンティブが与えられる”こととなったことを受けて、多くの自治体で、インセンティブを得るために実際の要介護度よりも低い介護認定が行われる可能性があるんです。

要介護認定が厳しくなることにより、介護離職が増える?

2025年介護保険制度改正による介護離職

 

インセンティブを得るために、厳しい介護認定が行われる可能性が危惧されていますが、それに伴って介護離職が急増する可能性が示唆されています。

要介護度の認定が厳しくなることで、なぜ介護離職が増えるのでしょうか?

介護離職とは、仕事と介護の両立が難しくなり、仕事を辞めてしまうというもの。

一般的に、家族に介護が必要な方がいる場合、介護サービスを利用できる上限まで利用して、仕事との両立を図っているという方も多くいらっしゃいますが、介護保険サービスの範囲で利用することができるサービスの種類や時間数は、要介護度によって決まっています。

この介護認定は、原則として、1年おきに更新が行われることとなっていますが、状態が安定している方の場合、最大で2年、状態が不安定な方の場合、1年以内で更新する場合も。

今回の改正では、この介護認定の更新時に、思わぬ事態に遭遇する可能性が指摘されているんです。

介護認定の改定時に要介護度が低くなる!?

その可能性とは、介護認定の更新によって、現在の介護認定より低い介護認定がなされる可能性があるというもの。

もし、介護認定の更新の際に、これまで認定を受けていた介護度よりも、低い判定がなされた場合、利用していた介護サービスについて、利用し続けることが難しくなるおそれがあるんです。

介護サービスを利用し続けようと思えば、自己負担額を増やすことで利用することもできますが、認定を受けている介護度で受けられる範囲内でのサービスで押さえようとした場合、自分たちで介護を担当する必要性が生じます。

家族が自分たちで介護を行う必要性が出てくると、当然、仕事へも影響が生じてしまい、最悪の場合、仕事を続けられなくなる可能性も出てきます。

介護度が低くなる事での影響は?

1例として、現在、要介護3の介護認定を受けている方が、介護認定の更新で要介護2に変更される場合について、具体的に考えてみましょう。

要介護3とは、歩行や移動が自分では難しく、日常生活動作全般で、介護が必要となっている状態にあるということ。

この要介護度では、デイサービスと身体介護、訪問看護を組み合わせて利用することが可能であるため、平日は毎日介護サービスを利用して、仕事に集中できる環境を作ることができます。

つまり、要介護3の認定を受けることができれば、仕事と介護を無理なく両立することが可能となります。

しかし、介護認定が要介護3から要介護2に変更された場合、介護保険サービスの中で利用できるサービスの回数が少なくなります。

その結果、家族が介護を負担する必要性が高くなり、仕事にも影響が生じてしまいます。

仕事への影響が大きくなると、介護が原因で離職せざるをえない可能性も。

また、離職することによって収入が無くなり、生活が困窮してしまうという状態に…。

そんな方も増えてしまうことが予測されています。

介護スタッフへの影響も

“要介護度が改善した自治体に対して、インセンティブが与えられる”こととなった今回の介護保険法の改正。

要介護度が実際よりも低く認定されることによって、家族の負担が増えて介護離職の可能性が高くなることが予測されていますが、その一方で、介護スタッフへの影響も危惧されています。

介護度の予測が難しい!その結果…。

 いったいどういうことかというと、これまで、介護サービスを受けたいという利用者がいた場合、ケアマネージャーは利用者の状態から予測される要介護度に基づいて、ケアプランを作成していました。

しかし、要介護認定が厳しくなることによって、予測された要介護度よりも低い介護認定しか受けられないという可能性も高くなります。

その結果、認定された介護度で受けられるサービスよりも多い介護プランを組んでいた場合、そのサービス料金は、全額、家族が負担しなくてはならないということも出てくるんです。

介護サービスの料金を、家族が負担することが無いように、ケアプランに組み込むサービス内容を少なくすることもできますが、そうすると、家族が介護を負担する必要性も出てきます。

つまり、利用者が実際に必要としているサービスと、介護保険サービスの中で提供されるサービスの内容とに、違いが生じるという可能性が増えてくることが予想されているんです。

介護保険法の改正。本来の趣旨に基づく運用を期待

介護サービスは、国や自治体の財政によって賄われているもの。

社会の少子高齢化が進む中で、介護サービスのあり方について検討していくことは必要となっていますが、自治体の都合により十分なサービスを受けられないことによって介護離職が増加する事態が起こることがないよう、法改正の本来の趣旨に沿って、自治体が高齢者の自立支援や重度化防止に注力するような運用が期待されています。

介護ぷらす

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