免許の自主返納で介護度が上昇するリスクが8倍に!?

高齢者の免許返納による認知症の向上
今、社会の高齢化に伴い、運転免許証を持つ高齢者の数も増えていますが、高齢ドライバーによる自動車事故を減らす目的で、免許証の自主返納が進められています。

その一方で、高齢者が免許証を返納することで、介護度が上昇するリスクが高くなるという驚きのデータが出ています。

目次

  1. 【1】運転免許を自主返納する高齢者が増加中

  2. 【2】 自主返納に伴って、介護度が上昇

  3. 【3】個々の能力に合わせて免許返納の時期を決めよう

運転免許を自主返納する高齢者が増加中

総数 65歳以上 70歳以上 75歳以上 80歳以上 85歳以上
2008 29,150 28,097

(96.4)

26,311

(90.3)

19,851

(68.1)

10,525

(36.1)

2,916

(10.0)

2009 51,086 49,251

(96.4)

44,463

(87.0)

28,087

(55.0)

16,377

(32.1)

4,519

(8.8)

2010 65,605 63,159

(96.3)

55,524

(84.6)

32,488

(49.5)

18,806

(28.7)

5,378

(8.2)

2011 72,735 69,805

(96.0)

61,841

(85.0)

37,199

(51.1)

23,109

(31.8)

8,471

(11.6)

2012 117,613 111,852

(95.1)

101,036

(85.9)

65,147

(55.4)

35,432

(30.1)

13,522

(11.5)

2013 137,937 131,595

(95.4)

121,211

(87.9)

87,014

(63.1)

48,840

(35.4)

15,721

(11.4)

2014 208,414 197,552

(94.8)

172,701

(82.9)

96,581

(46.3)

58,773

(28.2)

20,762

(10.0)

2015 285,514 270,159

(94.6)

231,233

(81.0)

123,913

(43.4)

75,205

(26.3)

27,696

(9.7)

2016 345,313 327,629

(94.9)

276,614

(80.1)

162,341

(47.0)

103,422

(30.0)

39,991

(11.6)

2017 423,800 404,817

(95.5)

355,910

(84.0)

253,937

(59.9)

156,066

(36.8)

65,532

(15.5)


自主返納に伴って、介護度が上昇

国立長寿医療研究センターが65歳以上の高齢者、約3,500名を対象に運転状況と要介護認定の関係性について行った調査により、運転を継続した高齢者に比べて運転を中止した高齢者が要介護状態になるリスクが約8倍にも上がるという衝撃の結果が明らかとなりました。

この理由については一概には言えませんが、運転は歩行者や道路の状況など多くの情報を「認知」し、その状況を「判断」することによって適正な「操作」をすることが求められます。

そのため運転することで脳に適度な刺激が与えられますが、運転を止めるとその刺激が失われることにより認知能力が低下するリスクがあるとされているんです。

また、車がなくなることで大きなライフワークの変化が生まれます。

東京などの都心は電車やバスといった公共交通機関が発達しているため、車が無くなったことがすぐに生活範囲を狭めるということにはつながりません。

しかし、電車やバスが少なく車が必要となる場所に住んでいる場合、「ちょっとそこまで」と気軽に外出することができなくなるため、免許の返納によって生活範囲が狭まることが予想されます。

自由に外出することができなくなると家の中に引きこもってしまう方も増え、それが筋力の衰えなど身体機能の低下につながってしまうとされています。

車や運転することが趣味という方にとっては、運転免許を返納することは趣味を失うということでもあるため、運転免許を返納することによって、楽しみや張り合いが無くなり、認知症を発症してしまうというケースもあるようです。

運転免許証を返納することによって、認知症や介護度が上昇するリスクが指摘されている一方、運転には、先ほど述べた通り「認知」「判断」「操作」という3つの要素を使い、脳が活性化される要素があります。

高齢者の認知症と運転

 

そのため、運転を続けることによって認知症を発症するリスクが半減するという可能性が出てきています。

医師に「認知症」と診断されている方については、免許の自主返納が必要ですが、「高齢になったから運転免許証を返納しましょう。」と年齢でひとくくりにしてしまうのではなく、その人の能力に応じて運転を続けることも選択肢の1つとして見据えていけるように取り組んでいくことが必要とされています

運転状況と要介護認定の関係性について調査を行った国立長寿医療研究センターによると、高齢者でも、トレーニングを行うことで運転技能をあげる効果が期待できるそうです。

実際に、国立長寿医療研究センターが、軽度認知障害と診断された高齢者を対象に、安全運転を学ぶ実車教習と、動体視力トレーニング、シミュレーターを用いた危険予測トレーニングを各10回ずつ行う「教習プログラム」を行ったところ、トレーニングの前後で運転技能に差が見られる結果が得られたとしています。

また、山梨大の伊藤安海准教授によると、72歳より若い方の場合、運転のトレーニングをすることによって、ある程度の効果を得ることができるとされています。

伊藤准教授は、「運転には身体機能の他、情報処理能力、空間認知能力など、さまざまな能力が必要となるが、その能力のどこに問題があるのかを把握し、サポートする機能を車に備えることによって、運転することを可能にできる。」ともしています。

危険を察知して車を止めたり、車庫入れをサポートする人工知能の技術によって、高齢ドライバーの事故の8割が回避できるとしているので、人工機能のさらなる開発・実装が期待されます。

免許を自主返納した方に対しては、生活の範囲が狭くならないよう、タクシー料金や路線バスの料金の割引を行うなど、自治体や事業者により、さまざまな取り組みが実施されています。

これらの支援制度に対する認知度はまだまだ低いため、支援制度について周知する取り組みを行うことも重要であるといえます。

(参考:運転免許証の自主返納に関するアンケート調査結果 https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/koureiunten/kaigi/3/siryoh/shiryo4.pdf

高齢運転者支援サイト:http://www.zensiren.or.jp/kourei/return/relist.html

個々の能力に合わせて免許返納の時期を決めよう

高齢者による交通死亡事故のニュースが取り上げられる中、高齢者の家族がいる方は、「そろそろ免許を返納したらどうだろうか?」と考えることがあるかもしれません。

しかし、免許を返納することによって、要介護度が高くなるリスクがあるという調査結果も得られています。

高齢者でもトレーニングを行うことで運転技能をあげることが期待できるという調査結果も得られているので、「高齢だから免許を自主返納する。」、ではなく、「トレーニングを行いながら運転を続ける。」、という方法を検討してみてもいいのではないでしょうか?

介護ぷらす

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

最新の介護お役立ち情報をお届けします。