急増する高齢者と老齢ペットの「老老介護」

ペットの医療・食事の進化に従って、平均寿命が延びている今、立ちはだかっている課題が「飼い主とペットの老老介護」問題です。リタイヤ後、ペットを飼い始める前に考えておくべきこの問題について解説していきます

目次

  1. 【1】飼い主とペットの老老介護とは?

  2. 【2】飼い主とペットの老老介護はどう対策する?

  3. 【3】ペットを飼う際にはペットの老後も考えて

ペットとして飼われている犬や猫。医療やペットフードの進化にともなって、ペットの平均寿命も15歳程度に延びています。そこで深刻化しているのが、ペットの介護問題です。

ペットも高齢化すると、排せつが思うようにいかなくなったり、食事の介助が必要になったり…と介護が必要になります。そのとき、飼い主も介護が必要な状態になっていたとしたら…。「ペットの介護が必要なのに、身体が思うように動かない…」というときのために考えておきたい“飼い主とペットの老老介護問題”について解説します。

飼い主とペットの老老介護とは?

総務省統計局が発表している平成29年9月の統計によると、日本の総人口は1億2676万1千人。そのうち65歳以上の高齢者は3489万8千人で、総人口の27.7%にも上るとされています。社会の高齢化が進む中、一人暮らし、または夫婦二人暮らしの高齢者が“癒し”のために犬や猫などのペットを飼うケースが増えてきていますが、忘れてはいけないのが“ペットも年を取る”ということ

今から30~40年前までは、ペットの予防接種が普及しておらず、食事も人間の食事を与えるのが当たり前。10歳以上の犬は珍しい時代でした。現在では、予防接種や健康診断の普及や、ペットの年齢に合わせたペットフードの流通など、ペットの飼育環境は格段に向上しており、ペットの平均寿命も15歳程度にまで延びています。
ですがその一方で、介護が必要となる高齢のペットは増え、高齢者が高齢のペットを介護する“老老介護”が問題となってきています。

ペットが高齢化することによる問題とは?

“かわいい”“癒しになる”というイメージのペットですが、高齢化することでどのような問題があるのか、ご存じでしょうか?

ペットの平均寿命が延びることで一緒に過ごせる時間は長くなりますが、ペットは生き物であるため、元気なときばかりとは限りません。ペットが病気になったときに備えた『ペット保険』が販売されるほど、ペットが病気にかかった際には高額の治療費がかかります。飼い主が高齢で年金生活の場合、ペットの治療費は大きな負担となりますし、ペットが事故や病気で歩くことができなくなった場合、トイレの世話や床ずれ防止の世話が必要となります。

小型のペットの場合は、飼い主が高齢者であってもなんとかお世話ができるかもしれませんが、中型・大型のペットとなると、お世話するのに身体がついていかない…という事態も起こり得ます。また、ペットが元気な場合でも、飼い主が出歩くことができず「散歩に連れて行けない」というケースも少なくありません。

ペットが認知症を発症するケースも

ペットの高齢化による問題に“認知症”があります。「えっ!ペットの認知症!?」と思われる方もいるかもしれませんが、高齢ペットに起こりやすい症状のひとつです。

夜泣き、呼んでも反応しない、昼夜逆転の生活になってしまう、失禁する…など、さまざまな症状が現れる“認知症”ですが、認知症の検査のためにCTやMRIをとるのも難しく、正確な診断ができないうえ、診断したところで効果的な治療法がないため、介護に頭を抱える飼い主がとても多いという実情があります。「最近おかしいな…」と感じたら、早めに獣医師にかかり、対策を立てておきましょう。

リスク以上の価値がある?高齢者がペットを飼育するメリット

高齢者がペットを飼うリスクについて解説をしていきましたが、もちろん高齢者がペットを飼うメリットもあります。

高齢者がペットを飼うと、

  • 情緒が安定する
  • 寂しさが減る
  • ストレスが減る

といったメリットを感じることが多くなるという調査結果が出ています。

また、ペットを飼うことで生きがいを感じたり、散歩をすることによって体力の維持ができるという効果も期待できます。とはいえ、自分の体力や健康状態に問題が起こったときに、ペットをどうするのかを考えておくことも必要です。

飼い主とペットの老老介護はどう対策する?

では、飼い主とペットの老老介護に陥ってしまう可能性がある場合、どのような対応をすればよいのでしょうか。

家族に相談をしておく

まずは別居している家族や親族に相談をしておきましょう。できればペットを飼い始めるまえに「いざとなったときの受け入れ先」を検討しておくのがベターです。

里親を探す

身内で受け入れが難しかった場合には、“里親を探す”という方法があります。里親を探す方法はさまざまですが、次のような方法が一般的です。

ポスターを貼る・地元の広告欄に掲載する

スーパーや銀行・郵便局・商店街などに里親を探しているペットの写真や特徴を記載したポスターを貼るという方法です。場所によっては多くの方の目に留まりますし、家の近くで探せば近隣の方に引き受けてもらえるかもしれないというメリットがあります。

デメリットは、ポスターを作成するのに手間やコストがかかること。また、場所によっては掲載に費用がかかることがあります。

友人・知人で飼ってくれる人を探す

まずは、友人や知人で飼える方がいないか声をかけてみるといいでしょう。わが子のようにかわいがっていたペットを知っている方に托せるというのは安心感がありますね。また、様子を聞きやすいというのもメリットです。

愛護団体に依頼する

動物愛護センターや動物保護団体等に、里親を探してもらう依頼をするのもひとつの方法です。実際にペットを見ることで飼おうかなと考える方もいらっしゃるので、里親募集イベントに、参加させてもらうのもオススメです。

インターネットで募集する

インターネットを利用して里親を募集するという方法もあります。里親探しのサイトはたくさんあるので、複数のサイトに登録して利用するのがおすすめです。ただし、里親希望の方がどのような人物なのかがわかりにくいというデメリットもあります。「タダでペットを飼いたいから」という軽い気持ちの方も少なからずいるのが実情です。ペットの飼育歴や飼育環境などをヒアリングし、慎重に進めていく必要があります。

動物病院で探す

それから、意外と知られていないのが動物病院で募集する方法です。当たり前の話ですが、動物病院を利用している方はペットの飼育歴がある方ばかり。ペットの健康状態に配慮し、責任をもって飼ってもらうことができます。また、里親を探す際に必要なワクチンを接種したり、避妊・去勢手術を受けさせておくこともできます。

さらに、動物病院が仲介者として入ることで、里親に渡した後の飼育状況を聞くことができる可能性もあるので安心です。

老犬ホームも検討してみよう

近年、何らかの事情でペットの世話ができなくなったという飼い主のあいだで注目が集まっている“老犬ホーム”。その名のとおり、介護が必要となった高齢ペットの世話を目的とした入居型の施設です。老犬ホームは全国各地に存在し、入居するペットの数は年々増加の傾向にあるようです。

入居期間は1ヵ月短期から終身の長期までさまざま。受け入れ対象となる犬の状態はホームによって異なりますが、寝たきりのペットや、病気を抱えているペットでも安心して預けられる環境が整っています。

老犬ホームの料金は?

老犬ホームの入所を検討するときに気になるのが“入居費用”ではないでしょうか。老犬ホームの料金としては、入所金と利用料・介護料のほか、治療が必要な場合の治療費が必要となるのが一般的です。老犬ホームがある場所や、預かる期間によって費用は異なりますが、終身預かりの場合10~30万円の初期費用の他に、月額3~6万円の費用が必要となるケースが多いようです。

老犬ホームでは、預かったペットに合わせた食事が提供され、必要に応じてお散歩もさせてくれるようになっています。また、起きている間は共有スペースやドッグランで自由に過ごし、寝るときに個室やゲージでゆっくりすることができるようになっているので、預けたいと思う施設がどのような設備を整えているのか、スタッフの対応や施設の清潔感などを含めて、チェックしておくのがおすすめです。

ペットを飼う際にはペットの老後も考えて

“一人だと寂しいから”“かわいいから”と安易に飼い始めてしまいがちなペット。お互いに元気で体力があるうちは良いですが、人もペットも高齢になり、お世話をすることができないという事態も起こります。ペットを飼うまえに「高齢になったときにペットをどうするか」ということをしっかり考えておくようにしておきたいものですね。

介護ぷらす

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