高齢ドライバーによる事故が目立つ昨今。今、考えたい「免許自主返納」

高齢者ドライバー
高齢ドライバーによる交通事故の報道が続く昨今、「高齢ドライバーは運転免許を自主返納すべきではないか」という声が相次いであがっています。取り返しのつかない事故を起こしてしまう前に、免許返納について知り、返納のタイミングを考えていきましょう。

目次

  1. 【1】相次ぐ痛ましい交通事故。高齢ドライバーは免許を返納すべき?

  2. 【2】高齢ドライバーによる事故のうち6割は「認知機能に問題がなかった」

    1. 1.加齢に伴う動体視力・反射神経の衰え

    2. 2.過去の運転経歴にとらわれやすい

  3. 【3】通院や買い物が不便になることも…自主返納で起こる弊害

    1. 1.交通手段がない…通院や買い物に困る

    2. 2.家族の負担が増す可能性がある

    3. 3.判断能力や認知機能が低下するおそれがある

    4. 4.閉じこもりがちになってしまう

  4. 【4】ホテルや飲食店をお得に利用できる。免許返納で受けられるサービス

    1. 1.一部美術館や文化施設の入場料が割引に

    2. 2.デパートでの買い物の配送料が無料に

    3. 3.ホテルやレストランをお得に利用できることも

  5. 【5】運転経歴証明書の発行方法は?

  6. 【6】免許返納しやすい環境づくりが必要

相次ぐ痛ましい交通事故。高齢ドライバーは免許を返納すべき?

 高齢ドライバーとは、65歳以上の運転手を指す言葉。

警視庁交通総務課統計によると、都内における交通事故の総件数が年々減少している一方で、高齢ドライバーが関与している交通事故の割合は年々増加。平成28年では、高齢ドライバーが関与する事故が全交通事故の22.3%を占めるという結果となりました。多発する高齢ドライバーによる事故。未然に防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。

「高齢ドライバーによる交通事故」と聞くと、真っ先に「認知機能に問題があったのでは」と考える人は少なくないでしょう。ですが、高齢ドライバーによる交通事故は、認知機能の低下だけが原因で起こっているわけではありません。

高齢ドライバーによる事故のうち6割は「認知機能に問題がなかった」

警視庁の調査によると、平成26年度に75歳以上のドライバーが起こした事故のうち、「認知症のおそれ」もしくは「認知機能低下のおそれ」と判定されたドライバーによる事故は4割程度。もちろん、認知機能の低下がひとつの原因として挙げられることは明らかですが、残りの6割は、認知機能に問題がないと判定されたドライバーによる事故ですので、認知機能の低下だけに原因があるとは言い難いのが実情です。

では、いったいほかにどのような原因があるのでしょうか。

加齢に伴う動体視力・反射神経の衰え

低下の度合いには個人差があるものの、歳をとると少なからず身体機能が低下していくものです。警視庁が行った調査によると、高齢ドライバーによる交通事故の人的要因は「発見の遅れ」が68.6%と全体の7割近くを占めています。注意力が衰えることでつい脇見運転をしてしまったり、反射神経が衰えることで障害物などを見つけても即座に対応することができなかったり…といったことが事故につながります。

過去の運転経歴にとらわれやすい

高齢ドライバーのなかには、長い運転歴を持つ人が少なくありません。特に日常的に車を運転している人の場合、「運転に慣れているのだから、交通事故を起こすわけがない」「走り慣れた道だから大丈夫」と油断をしてしまいがち。自分は大丈夫という過信が取り返しのつかない事故の引き金になることを心に留めておきたいですね。

通院や買い物が不便になることも…自主返納で起こる弊害

多発している高齢ドライバーによる交通事故の報道を受けて、「高齢ドライバーは免許を自主返納すべきでは?」という声が多く上がっている昨今。とはいえ、日常的に車を運転している人が免許を返納するにはさまざまな弊害があります。

交通手段がない…通院や買い物に困る

車が必須となる地域に住まいがある場合、免許を返納することで病院やスーパーマーケットといった日常の移動が困難になるというリスクがあります。タクシーやバスなど、他の交通手段が活用できればスムーズではあるものの、思い立ったときにすぐ出かけられないため不便に感じ、つい閉じこもりがちになってしまうケースも少なくありません。

家族の負担が増す可能性がある

タクシーの台数やバスの本数が少ないエリアに住んでいるケースなどでは、買い物や病院に家族が付き添わなければならない可能性もあります。

近くに暮らしている場合であればサポートすることができるかもしれませんが、遠方に暮らしている場合は、返納後も問題なく生活を送ることができるかどうか、家族で話し合っておく必要があります。

判断能力や認知機能が低下するおそれがある

日常的に運転をしていた人がいきなり運転をしなくなったことで、判断能力や認知機能が低下するケースも見受けられます。運転をしなくなった代わりに、介護予防教室に積極的に通う習慣をつくるなど、自主的に訓練していくことが大切です。

閉じこもりがちになってしまう

免許返納後、車を運転できなくなったことで外出そのものを避け、閉じこもりがちになってしまうケースも少なくありません。地域行事に積極的に参加したり、介護予防のデイサービスを利用したり…と、こまめに外出する理由をつくることが閉じこもり防止のコツです。

ホテルや飲食店をお得に利用できる。免許返納で受けられるサービス

高齢者ドライバー

運転免許を返納すると、運転免許証の代わりに「運転経歴証明書」の交付を受けることができます。運転経歴証明書は運転免許証と同様に身分証明書として使用することができるほか、65歳以上の運転経歴証明書所持者はさまざまな特典を受けることができるというメリットがあります。どのような特典を受けることができるかは都道府県によってさまざま。今回は東京都を例にご紹介します。

一部美術館や文化施設の入場料が割引に

都内の一部美術館や博物館などでは、入館時に運転経歴証明書を提示することで入館料の割引や記念品のプレゼントといった特典を受けることができます。

たとえば、港区六本木にある「森美術館」の場合、1500円の入館料が半額で入館することができます。

デパートでの買い物の配送料が無料に

三越伊勢丹、高島屋では、買い物をしたときの配送料が無料になるサービスを実施(一部除外あり)。そのほか、イオンでも一部店舗で、1個あたり100円~300円で即日配送を行うサービスを行っています。車がないからたくさん買い物ができない…という方にはうれしい特典ですね。

ホテルやレストランをお得に利用できることも

そのほか、ホテルや飲食店にも特典が用意されているケースがあります。帝国ホテル東京やパレスホテル立川では、直営レストラン・バーラウンジが10パーセント割引に。

こういった特典は、高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体で受けることができるので、返納を決めたらぜひ地域の加盟企業・団体を調べておきたいですね。

運転経歴証明書の発行方法は?

運転経歴証明書の発行は、各運転免許試験場や免許更新センター、警察署などで行うことができます。運転経歴証明書の発行には運転免許証と写真(縦3センチメートル、横2.4センチメートル)、本籍が記載された住民票、印鑑(認印可)、交付手数料1000円が必要です。

すでに免許を返納している人の場合も、返納後5年以内であれば発行することができますので、返納しているのに発行していないという方は発行しておくと便利です。

免許返納しやすい環境づくりが必要

「取り返しのつかない交通事故を起こしてしまう前に、高齢ドライバーは自主返納を考えるべき」という声は大きいものの、生活に支障をきたしてしまうようであれば現実的に返納するのは難しいものです。

免許の自主返納を促すには、「運転経歴証明書」で受けられる特典だけではなく、車を運転しなくても支障なく生活できる環境整備が急務です。高齢ドライバー当事者だけではなく、社会全体で返納できる環境を考えていきたいですね。

介護ぷらす

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