レックスサーラは市民の告発からうまれた!良質な介護サービスとは

レックスサーラ
“レックスサーラ”ってご存知でしょうか?“レックスサーラ”とは、福祉国家として知られるスウェーデンの社会サービス法、第14章2条の別名です。介護施設が劣悪な介護を行った場合に、職員などの関係者は監督機関に訴えなければならない法令なのですが、この法令は一人の女性の勇気ある行動から生まれました。

目次

  1. 【1】レックスサーラのきっかけとなったサーラの発言とは?

  2. 【2】レックスサーラの内容は?

  3. 【3】ケアに従事する職員の内部告発義務

  4. 【4】内部告発を奨励し、利用者の利用環境を改善するキーワードに

レックスサーラとは?

“レックスサーラ”は、スウェーデンの社会サービス法、第14章2条の別名。

介護施設の利用者が衛生面の不整備やサービスの欠陥、身体的や精神的・性的な虐待などを受ける環境にある場合、施設で働く職員や、施設に関係するボランティアや政治家などは、その状況を地域の監督機関に訴える義務があるという内容となっています。

スウェーデンにおいて、福祉を管轄しているのはコミューン(日本における市町村)ですが、このコミューンに対して、すべての高齢者施設・障害者施設や、施設で働く職員に対して、“レックスサーラ”について説明する義務が課されました。

つまり、“レックスサーラ”とは、公営・民営に関係なく、すべての高齢者施設・障害者施設の環境を保障するものであるということができます。

レックスサーラのきっかけとなったサーラの発言とは?

レックスサーラのきっかけとなった舞台は、予算の節約を目標としていたソルナ市が、破格のコストを提示した大手企業、ISSに委託した老人ホーム、「ポールヘムスゴ―デン」

このホームで働いていた介護保健士、サラ・ヴェグナートが、ホームの劣情を公表しました。

ホームの劣悪な状況というと、ベッドに縛ったり、部屋に閉じ込めているということを想像する方もいらっしゃると思いますが、このポールヘムスゴ―デンでの劣悪な状況というのは、入居者に床ずれが出来ているということを指しています。

当時、施設における介護コストの相場は1100クローネから1200クローネ。

しかし、ポールヘムスゴ―デンは、運営会社のISSが、1人当たり1日550クローネという低コストで請け負いました。

相場より安いコストで請け負ったことにより、食事の一部を介護職員に作らせたり、床ずれ防止用のマットや、高齢者を持ちあげるためのリフトを購入しないなど、入居者に対する介護が行き届かない状態にあったようです。

この状態を改善するべく、職員たちから声があがったにもかかわらず、会社側もソルナ市も受け止めてくれなかったことから、サラがテレビ局に対して実情を訴えることにつながりました。

テレビ局のカメラの前で、ホームの現状を公表したのが月曜日。

公表した翌日には市や社会庁からの調査が入り、翌々日である水曜日には、10日間の猶予期間を設けた後、ISSとの契約を破棄することが発表されるなど、迅速な対応が取られました。

施設の監査報告書によると、不手際は開設する直前に、施設長が病気で辞めてしまうなど、リーダーがいない状態であったにもかかわらず、開設から10日間の間に84名もの数の高齢者を施設に受け入れたことが原因であるとされています。

この社会的問題にまでなったこの事態ですが、

レックスサーラの内容は?

1982年、福祉における目的や原則、行政の義務や住民の権利について、定められた社会サービス法が成立します。この法律によって、高齢者・障害者・生活保護を受けている人などを対象に、自治体が生活を保障することが定められました。

この法律は、別名“権利法”とも言われ、もし、行政の決定に対して不服がある場合、行政裁判所に不服申請を申し立てることが可能であるとされるなど、住民の権利について明記されています。

その内容は、「社会サービスの質の保持」と「ケアに従事する職員の内部告発義務」の2つから成っています。

社会サービスの質の保持

社会サービスの質の保持は、社会サービス法第7条において

「社会サービスは良質でなければならない。社会福祉委員会の業務を行うために、適切な教育及び経験を持った職員がいなければならない。業務におけるクオリティーは系統的かつ継続的に発展及び保障されなければならない…」と記載されています。

つまり、良質なサービスを提供するために、適切な職員の確保が必要であるとされました。

ケアに従事する職員の内部告発義務

レックスサーラ

 

ケアに従事する職員の内部告発義務については、

「高齢者及び障害者ケアに従事している者は、これらの人が良いケアを受けて安心して暮らせるよう努めなければならない。ケアにおける重大な問題について気が付いた、あるいは知った者は、これを社会福祉委員会に報告しなければならない。もしこれがすぐ解決できなければ、委員会はこれを監督機関に報告しなければならない…」と記載されています。

つまり、業務責任者が訴えを受けた場合、調査をする責任があること、また、業務責任者が責任を果たしていない場合、社会福祉委員会等に訴えを行う必要があるということが明記されています。

内部告発を奨励し、利用者の利用環境を改善するキーワードに

施設の民営化に伴って、経費削減のために職員数が少なくなったり、利用者に対するサービスの質が低下することがありましたが、レックスサーラができる前は、内部的に取り上げられることはもちろん、施設外にその実情が伝わることもほとんどない状態となっていました。

そんな状態に対して、警鐘を鳴らしたのがレックスサーラ。

今では、内部告発を奨励し、利用者に対するサービスの質を保障するキーワードとしても用いられています。

なお、社会サービス法第7条Aとして1998年に定められたレックスサーラは、改正を経て、第3章3条、第14章2条として記載されています。

介護ぷらす

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